換気設備の法的要件|建基法第28条・シックハウス規制と機械換気3方式の設計チェックリスト
設備設計ナレッジ法規

換気設備の法的要件|居室・シックハウス・火気使用室の基準を整理

換気設備の法的要件を、居室換気・シックハウス対策・火気使用室・建築物衛生法に分けて整理。0.5回/hと0.3回/hの対象、換気方式の違い、必要風量と機器選定、図面・計算書の確認事項を解説します。

長

長谷川一夫

機械設備設計部

公開日
更新日

換気設備の法規は、室の用途と換気の目的ごとに確認します。「1人20m³/h」や「0.5回/h」のどちらかを満たせば、すべての換気条件を満たすわけではありません。居室の空気環境、ホルムアルデヒド、燃焼、臭気など、対象とする発生源を分けて整理しましょう。

本記事では2026年9月時点で、設備設計の初期に押さえる判定の流れを説明します。個々の例外・告示・自治体の取扱いは、計画条件に合わせて確認してください。

最初に確認する4つの規定

目的

主な確認先

確認する条件

居室の換気

建築基準法第28条、施行令第20条の2等

居室の用途、開口部、在室条件、換気設備

シックハウス対策

法第28条の2、令第20条の7・第20条の8等

居室の区分、建材、換気量、天井裏等

火気使用室

法第28条第3項、令第20条の3等

燃焼機器、燃料消費量、給排気方式

特定建築物の衛生管理

建築物衛生法と関係規定

対象用途・規模、空気環境の維持管理

国交省は、通常の生活による空気環境の悪化を防ぐ換気と、シックハウス対策の換気を分けて説明しています。国交省「住宅等における換気等に関する情報提供」

居室換気を一律の人数計算だけで決めない

居室の換気は、開口部による方法と、適合する換気設備を設ける方法の条件を確認します。機械換気の有効換気量は、床面積・開口部・1人当たり占有面積等を含む規定に基づいて検討します。「想定人数×20」だけをすべての室に適用すると、占有面積の扱いや用途条件を見落とすことがあります。

室名だけでなく、使用人数、稼働時間、間仕切り、換気経路を室別に記録します。在室者が変動する会議室、臭気のある便所、発熱機器のある室では、それぞれの目的から求める風量も確認してください。

0.5回/hと0.3回/hは対象を区別する

シックハウス対策の機械換気では、住宅等の居室は0.5回/h、その他の居室は0.3回/hを基本として必要有効換気量を検討する区分があります。「0.3回/hは住宅の自由な緩和値」という意味ではありません。建材の使用条件、天井高さ、別の構造方法・適用除外等は別途照合します。三菱電機の換気法規資料・令第20条の8の整理

仮に床面積100㎡、天井高さ2.5m、適用換気回数0.5回/hなら、対象容積250m³に対して125m³/hとなります。この計算は当該条件の換気回数から求めた値です。他の目的で必要な換気量や、実際のダクト抵抗まで満足することを保証するものではありません。

火気使用室は燃焼と排気の条件を確認する

燃焼機器を使用する室は、機器の種類、燃料消費量、排気フード、給気、排気筒の方式から適用条件を整理します。厨房では燃焼のための空気と、熱・水蒸気・油煙の排出を合わせて検討します。排気だけを増やすと負圧や扉の開閉、他系統の給気に影響するため、補給空気の経路も図示します。

電気式の調理機器に変更した場合も、熱・水蒸気・臭気がなくなるわけではありません。燃焼機器に関する規定の対象外かどうかと、実際に必要な排気量を分けて判断します。

第一種・第二種・第三種の違い

方式

給気/排気

設計時の主な確認

第一種

機械/機械

給排気バランス、室間の圧力、制御

第二種

機械/自然

排気経路、周囲への漏気、室の用途

第三種

自然/機械

給気口、通気経路、過度の負圧

方式名だけで法適合や清浄度は決まりません。給気口から排気口までの経路を確認し、短絡、ドア閉鎖、フィルター抵抗、外風等の影響を考慮します。実際の風量計算は必要換気量の計算で詳しく扱っています。

必要風量を満たす機器と図面にする

カタログの最大風量は、計画したダクトに接続したときの風量とは限りません。ダクト・フード・フィルター等の抵抗と機器特性から運転点を確認します。熱交換器を採用する場合も、必要外気量、漏れ、給排気バランスを含めて判断します。全熱交換器と外気処理の選定も参照してください。

  • 室別に適用規定・必要風量・計算条件を残す。
  • 平面図・系統図・機器表の風量と制御を一致させる。
  • 給気口・扉の通気・点検口が実際に機能する配置にする。
  • 竣工時に測定する風量と調整方法を決める。
  • 用途・人数・間仕切り変更時に見直す項目を引き継ぐ。

申請前の横断確認は設備設計の法規チェックリストを活用してください。室用途と設計条件の整理から検討したい場合は、換気設備の設計についてご相談ください。