VAV端末で各室への送風量を調整する空調システムのイラスト
設備設計ナレッジ空調設備

VAVとは|CAVとの違い・変風量方式の仕組みとメリット

VAV(変風量方式)とCAV(定風量方式)の違いを解説。端末と送風機の制御、最小風量と外気量、湿度・騒音の注意点を整理し、風量を減らす計算例と試運転時の確認項目を紹介します。

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猪狩理

設備設計士

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更新日

VAV(Variable Air Volume)は、室やゾーンの負荷に応じて送風量を変える方式です。CAV(Constant Air Volume)は、風量を一定に保つ方式を指します。事務所などの中央空調では、VAVを使って各ゾーンの室温を調整し、部分負荷時の送風動力を抑える計画ができます。

ただし、風量を減らすと外気の供給、吹出しの到達、湿度、室圧も変わります。VAV端末を付けるだけで省エネと快適性が成立するわけではなく、空調機・送風機・外気制御を一つのシステムとして設計します。

VAVとCAVの違い

比較

VAV

CAV

基本の考え方

要求に応じて風量を変える

所定の風量を保つ

室温調整

冷房時は送風量の増減等で調整

給気温度、再熱等との組合せで調整

部分負荷時

必要条件を守りながら風量を絞る

定風量を維持する範囲では送風量が減らない

主な確認

最小・最大風量、外気、静圧、低風量性能

必要風量、給気温度、運転時間、過冷却等

方式としてのVAV・CAVと、ダクト内に設置するVAVユニット・CAVユニットという機器名は、文脈を分けて読みます。CAV端末にはダクトの静圧変動があっても一定風量を維持する機器があります。VAVのような外部要求による連続的な風量変更とは役割が異なります。

機器の原理は空研工業のVAV・CAV資料に整理されています。また、一般のモーターダンパーは羽根開度を変える機器です。同じ開度でも差圧が変われば風量は変わるため、「開度50%=風量50%」とは限りません。

室温から風量を決め、送風機も追従させる

風量計測を備えるVAVでは、室温と設定値から必要な風量を求め、実測風量が要求に合うように端末を調整します。複数の端末が絞られたとき、送風機も回転数を下げられるように計画します。

室温・設定値 → 要求風量 → VAV端末で風量調整 → ダクトの静圧・要求を検知 → 送風機回転数を調整

送風機を高い回転数に固定したまま端末だけを絞ると、余分な圧力や騒音が生じやすくなります。静圧一定、端末の要求・開度等を利用する制御などを、系統と制御機器に合わせて検討します。方式分類は建築研究所の空気調和設備の評価資料でも扱われています。

温度センサは直射日光、吹出口、機器発熱等の影響を受けにくい代表位置に置きます。端末とセンサの受持ちが違う、間仕切り変更で一つの端末が複数室を受け持つ、といった状態も制御不良の原因になります。

メリットと導入に向く条件

  • 日射や在室人数で負荷が変わるゾーンごとに、送風量を調整しやすい。
  • 部分負荷時に送風機回転数を下げ、搬送動力を減らす余地がある。
  • 外周部と内部、会議室と執務室など、負荷の違いに対応しやすい。
  • 風量や端末開度の記録から、制御状態と不足箇所を把握しやすい。

一方、常に一定の換気量・排気量や厳密な圧力関係を必要とする室では、その条件を優先します。研究施設等では給排気を連動して制御する専用システムもありますが、一般事務所向けの室温制御をそのまま転用しません。空調方式そのものの比較は空調方式の選定フローも参照してください。

最小風量は冷暖房負荷だけで決めない

最小風量を制限する条件

不足した場合の問題

確認資料

必要外気量

室温は保てても換気が不足する

人数・用途ごとの換気計算、外気制御

吹出し性能

到達距離不足、混合不足、温度むら

吹出口の低風量時性能、室内配置

端末の制御範囲

風量を安定して測れず、制御が振動する

最低制御風量、差圧、直管等の条件

湿度・除湿

室温が低下しても湿度条件を満たさない

外気・潜熱、コイルと給気状態

排気・室圧

他室からの流入、臭気移動、扉の操作性に影響

給排気バランス、必要な室間差圧

アズビルのVAVコントローラでも、温度やCO2濃度に応じ、最小換気量を維持しながら風量を制御する考え方が示されています。CO2制御を用いる場合も、用途ごとの必要換気と外気の供給経路を確認します。

計算例|風量を60%に絞ってよいか

架空のゾーンで、最大給気量2,000㎥/h、温度制御の要求が1,200㎥/h、必要外気量が300㎥/hとします。説明を単純にするため、給気中の外気比率は20%で一定、漏れや他経路の外気はないと仮定します。

運転条件

計算

外気量の判定

最大給気2,000㎥/h

2,000×0.20=400㎥/h

300㎥/hを上回る

要求給気1,200㎥/h

1,200×0.20=240㎥/h

60㎥/h不足

外気比率20%を維持する案

300÷0.20=1,500㎥/h

外気量だけを見た下限は1,500㎥/h

この例では、温度要求だけで1,200㎥/hへ絞ると換気不足です。外気を独立して供給する、外気量を別に制御する、最小風量を設定する等を比較します。1,500㎥/hへ増やす案では過冷却や湿度、給気温度の調整も検討します。

現実の複数ゾーンでは、外気比率や各ゾーンへの配分も変化します。空調機全体の外気量が足りていても、最も条件の厳しいゾーンへの供給が足りるとは限りません。必要外気量の算定は必要換気量の計算と併せて確認します。

「風量の3乗」と実際の省エネ量

ファンの相似則が適用できる理想的な回転数制御では、風量比0.6に対し軸動力比は概ね0.6の3乗=0.216です。回転数制御の基本は日本電機工業会のインバータ解説も参照できます。

ただし、この値をそのまま「空調電力が78.4%減る」とは読めません。最低静圧、ファン・モーター・インバータの効率、フィルタ汚れ、実際の運転点で結果が変わります。熱源や外気処理の電力、再熱、運転時間も別に評価します。上の換気例なら、そもそも風量を0.6まで下げられるかの検討が先です。

施工・試運転で確認する項目

段階

確認項目

機器選定

最大・最小風量、必要差圧、騒音、漏れ、電源・信号

施工

取付方向、風量検出部、必要直管、点検口、断熱・結露

単体調整

端末番号と室名、風量計測、最大・最小の実測、センサ校正

システム試験

一部ゾーン停止・全体部分負荷・最大負荷での静圧と外気量

引渡し

設定一覧、トレンド、異常時の扱い、間仕切り変更時の再調整

苦情がある室だけ最大風量を増やすと、他ゾーンやファン静圧に影響します。室温、要求風量、実測風量、開度、静圧を同じ時刻で比較し、原因を追える記録を残すと改善につながります。吹出口の検討は吹出口の設計も参照してください。

資料確認日:2026年10月30日。作例は仮定条件によるもので、実設備の風量・省エネ量は機器性能と制御計画に基づき確認します。