
系統図とは|電気・給排水の読み方と平面図・単線結線図との違い
系統図は、設備の接続関係と電気・水・空気の流れを確認する図面です。平面図・単線結線図との違い、盤番号や立管番号を手掛かりに読む順序、電気・給水の同じ建物例で図面を照合する方法、変更時の確認表を解説します。
猪
猪狩理
設備設計士
- 公開日
- 更新日
系統図とは、機器・盤・配管・配線などの接続関係を、系統ごとの流れが分かるように整理した図面です。電源から負荷へ、水源から器具へ、といったつながりや階をまたぐ構成を確認します。実際の設置位置や配管・配線の長さは、平面図・断面図・詳細図と照合して読み取ります。
この記事では建築設備の系統図を対象に、同じ建物を複数の図面で追う方法を説明します。以下の図表・番号・寸法は読み方を示すための自作例で、特定の建物の施工図ではありません。
系統図・平面図・単線結線図の違い
図面 | 主に確認すること | 別図面で補うこと |
|---|---|---|
系統図 | どこからどこへ接続するか。階・系統・供給範囲・機器番号 | 実際のルート、寸法、高さ、施工納まり |
平面図 | 各階の機器位置、配管・配線の経路、室や通り芯との関係 | 他階への接続、系統全体、上下方向の納まり |
断面図・詳細図 | 高さ、勾配、梁・天井との位置関係、貫通や接続の納まり | 全体の接続構成や他室への展開 |
単線結線図 | 電力回路を単線で表した接続、遮断器・変圧器等の構成 | 盤の設置位置、実配線ルート、端子ごとの結線 |
単線結線図も電気系統を表す図面です。「系統図と単線結線図は全く別のもの」と分けるより、系統図という広い呼び方の中で、電力回路の情報をどう表現しているかを見ます。電話・LAN・自動火災報知設備では、幹線や端末の関係を示す系統図が用いられます。
国土交通省の建築設備工事設計図書作成基準(令和6年改定)でも、設備ごとに系統図、配線図・平面図、機器仕様などを区分しています。同基準は官庁施設の営繕工事向けであり、民間案件では契約図書・採用基準の指定も確認します。
最初に読むのは線ではなく、図面名・凡例・改訂情報
最初に図面番号、設備名、対象棟、図面の改訂日を確認します。新築・改修、既設・新設・撤去の区別が違えば、同じ線でも意味が変わります。色付きの図面を白黒印刷すると区別が消える場合もあるため、線種と凡例を合わせて見ます。
記号は採用基準と図面の凡例を優先します。線が交差して見えるだけで接続と判断せず、接続点、分岐記号、引出し注記を確認してください。略号だけで給水・給湯・冷温水を決めると、案件固有の表記を取り違えるおそれがあります。
系統図を読む6つの手順
- 対象系統を一つ選ぶ。例えば「2階照明の供給元」や「2階便所の給水元」のように、確認したい末端を決めます。
- 供給元と終点を見つける。受電盤・分電盤、水道引込・ポンプなどから、盤・器具・端末まで追います。
- 階をまたぐ部分を確認する。電気幹線、給水立管、排水立管などの番号と、各階の接続先を読みます。
- 途中の機器と分岐を拾う。遮断器、弁、メーター、制御機器などの位置と役割を確認します。
- 番号を平面図・機器表で探す。同じ盤番号・機器番号・立管番号が、同じ設備を指しているか照合します。
- 容量・管径・ケーブル仕様と計算条件を照合する。系統図の注記だけで決めず、負荷表・機器表・計算書までつなげます。
図の上から下へ読むとは限りません。水や空気は矢印と機器の接続、電気は電源・負荷の区別を基準に追います。循環配管は往きと還りの両方を確認します。
電気の作例:主配電盤から2階の照明まで追う
3階建ての事務所を仮定します。1階の主配電盤MSBから、幹線F-2で2階の電灯分電盤LP-2へ供給し、LP-2の回路L-1が執務室の照明を受け持つ例です。番号はこの記事独自のものです。
接続の概念図:MSB(1階) → 幹線F-2 → LP-2(2階) → 回路L-1 → 執務室照明
見る場所 | 系統図で拾う情報 | 平面図・盤表で照合する情報 |
|---|---|---|
1階の供給元 | MSBの送り回路F-2 | 電気室内のMSBの位置、出線方向 |
階間の幹線 | F-2の接続先がLP-2であること | EPSの位置、立上り、各階の引出し、配線ルート |
2階の分電盤 | LP-2の供給範囲 | 盤位置、電源条件、主幹・分岐回路の仕様 |
照明回路 | LP-2からL-1へ分岐 | 照明器具の傍記L-1、器具台数、回路負荷 |
2階平面図に「LP-2/L-1」と書かれた器具を見つけたら、盤表のL-1と結び付けます。器具の台数や消費電力が変われば、盤表の負荷と回路分けも確認します。系統図で接続先が合っていても、平面図で別のEPSを通っていれば、配線長や貫通位置の条件は一致していません。
ケーブルサイズの確認では、負荷電流、許容電流、電圧降下、保護装置との関係を別々に照合します。線がつながっていることだけで選定の適否は判断できません。記号の詳しい見方は電気図面の記号一覧、受変電回路は単線結線図の読み方を参照してください。
給水の作例:立管番号を手掛かりに器具まで追う
同じ建物に、1階の給水ポンプP-1から立管W-1を通して2階便所へ給水する系統があると仮定します。給水系統図では、供給方式、各階への分岐、弁・メーター・器具の接続を確認します。
接続の概念図:P-1(1階) → 立管W-1 → 2階分岐 → 止水弁 → 便所の衛生器具
2階平面図ではW-1の立上り位置を探し、器具までの横引きルートを追います。系統図上で分岐が右側に描かれていても、実際の便所が建物の右側にあるとは限りません。部屋・シャフト・通り芯との位置関係は平面図で確認します。
例えば平面図・断面図の寸法から、1階横引き8m、立上り4m、2階横引き5mと読める場合、配管の実長は合計17mです。これは本例の幾何学的な長さで、弁や継手の抵抗を加えた相当長ではありません。系統図の線を定規で測って17mの代わりに使うことはできません。
給水圧力を計算する際は、入口側の利用可能圧力、高低差、配管・弁・メーター等の損失、末端器具の必要圧力を照合します。排水系統ではさらに、勾配・管底高さ・通気・掃除口の関係を断面や詳細で確認します。具体的な表記は配管図面の見方で整理しています。
図面間の不整合を見つける確認表
確認項目 | 照合する図書 | 見つけたい不整合 |
|---|---|---|
盤・機器・立管番号 | 系統図、各階平面図、機器表 | 番号の変更漏れ、同じ番号の別設備への重複 |
接続先と供給範囲 | 系統図、盤表、制御図 | 別系統への誤接続、停電時の供給範囲の誤認 |
仕様・容量 | 系統図、負荷表、機器表、計算書 | 機器更新後のケーブル・遮断器・管径の確認漏れ |
ルートと高さ | 平面図、断面図、総合図 | 別EPSへの変更、梁との干渉、勾配不足 |
工事区分 | 系統図、特記仕様書、工事区分表 | 電源・制御・接続工事の担当範囲の抜け |
改訂 | 図面目録、各図面、質疑・変更記録 | 旧版との混在、一部図面だけの更新 |
国交省の作成基準は、図面間の重複・不整合を避け、工事区分を明示することも求めています。実務では変更事項を一つの図面に書いて終えず、影響する図面と計算書を一覧にして照合すると確認漏れを減らせます。
よくある疑問
系統図だけで施工できますか
通常は位置・高さ・寸法・納まりなどの情報を別図面で補います。必要な情報が同じ用紙にまとめられている場合もありますが、図面名だけで十分と判断せず、施工に必要な記載と契約図書の構成を確認します。
系統図に縮尺がないのはなぜですか
接続関係を見やすく整理する目的があり、実際の距離や方位を縮めて表す図とは役割が違うためです。寸法の記載がある場合はその意味を読み、ルート長や高さは対応する平面・断面図で確かめます。
平面図と系統図が違う場合はどちらを優先しますか
独断で一方を正として施工・発注を進めず、改訂履歴、特記、設計変更記録と契約上の図書の扱いを確認し、設計者・工事監理者へ照会します。回答を受けたら、関連する図面・機器表・計算書も整合させます。
参考資料
- 国土交通省「建築設備工事設計図書作成基準(令和6年改定)」:基本事項、設備製図、電気・機械設備図面の構成を参照。
- パナソニック「設備図面(設備図)とは?種類や見方のポイントを解説」:設備図面の種類と縮尺の説明を参照。
資料確認日:2026年10月30日。図表と作例は本記事の説明用に作成しています。