SPDとは?避雷器との違い・選定条件・設置位置と接地
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SPDとは?避雷器との違い・選定条件・設置位置と接地

SPDの役割と避雷器との違いを整理し、系統条件・Uc・Up・放電電流・分離器の確認から、設置位置と接地、保守計画までを解説。設備設計で使える選定チェックリスト付き。

猪狩理

設備設計士

公開日
更新日

SPDは、電源線や通信線を通じて侵入する雷サージなどの過電圧を制限し、接続された機器を保護する装置です。設計では「何kAの製品を付けるか」だけでなく、守る機器、侵入経路、系統電圧、接地、盤内配線を一組で確認します。

この記事では、建築設備に使う低圧電源用・通信用SPDを中心に、機器選定から図面への記載までの確認順序を整理します。

SPDとは?避雷器・アレスタとの違い

SPDはSurge Protective Deviceの略で、日本語ではサージ防護デバイスと呼びます。過電圧が加わると動作し、サージ電流を流して機器の端子間に生じる電圧を制限します。電源用、通信用、LAN用、同軸用などがあり、接続する回路に合う種類を使います。出典:サンコーシヤ「SPDとは」

呼称

設計時に区別したい対象

図面・仕様書での確認

SPD

低圧電源・通信などのサージ保護

対象回路、適用規格、接続方式を明記する

高圧避雷器

高圧系統の雷サージ保護

低圧側SPDとは別に選定する

アレスタ・保安器

製品や現場によって使われる呼び方

名称だけで判断せず仕様を確認する

従来の呼称が残っているため、「避雷器」と「SPD」が同じ意味で使われる場合もあります。見積依頼では名称に加え、使用電圧と保護対象を伝えると取り違えを防げます。出典:サンコーシヤ「避雷器とSPD」

選定前に、守る機器と侵入経路を決める

最初に、停止した場合の影響が大きい機器を挙げます。例として、中央監視装置、通信機器、屋外監視カメラ、設備制御盤などです。そのうえで、機器につながる電源・信号・LAN・同軸ケーブルを系統図上でたどります。

屋外カメラを例にすると、電源にSPDを設けても、屋外へ延びる金属の通信線が別の侵入経路になります。PoE給電なら、通信速度だけでなく給電方式への適合も確認します。複数の接続回路を持つ機器は、それぞれの回路と接地を含めて保護計画を立てます。参考:サンコーシヤ「SPDの効果的な使い方」

カタログで確認する選定条件

電圧と接続方式を先に合わせる

交流・直流、単相・三相、線数、接地相の有無を確認します。同じ200V系でも、回路構成によって使用する製品や接続が異なります。漏電遮断器の一次側・二次側のどちらに設置するかも含め、メーカーの適用回路図と照合してください。参考:サンコーシヤ「電源用SPD」選定項目

項目

読み方・確認すること

最大連続使用電圧 Uc

継続して加えられる電圧の条件。接続する端子間の常時電圧と照合する

電圧防護レベル Up

サージ電圧を制限する性能の指標。保護対象のインパルス耐電圧と、接続配線の影響を合わせて検討する

インパルス放電電流 Iimp/公称放電電流 In

試験波形・試験条件を含めて読む。kAの数値だけで同等品と判断しない

保護モード

線間、線-接地間、中性線-接地間など、どの端子間を保護するか

短絡条件・バックアップ保護

設置点の短絡電流と、指定されたヒューズ・遮断器の組合せへの適合

通信の条件

信号電圧、電流、伝送帯域、コネクタ、PoE対応など

仕様表では、同じ製品でも保護モードによってUpや放電電流が異なる場合があります。候補品ごとに「どの端子間の数値か」まで転記すると、比較しやすくなります。参考:フエニックス・コンタクト「サージ保護機器」カタログ

クラスと設置位置は保護計画に合わせる

電源用SPDにはクラスⅠ・Ⅱ・Ⅲなどの区分があり、複数のクラスに対応する製品もあります。直撃雷電流の一部が流入する条件ではクラスⅠ対応を含めて検討し、分電系統や機器側では上流との協調を確認します。クラスの数字を性能の順位として扱ったり、盤の名前だけで一律に指定したりしないことが大切です。

タイプ2のSPDを上流のタイプ1に続く保護段階として使う構成もあります。多段に設ける場合は、各SPDの組合せや必要な配線条件をメーカー資料で確認します。参考:フエニックス・コンタクト「タイプ2サージ保護」

設置位置と接地で確認すること

電源用SPDへの接続線が長いと、サージ電流が流れたときに配線で生じる電圧が保護性能に影響します。盤内では、電源からの分岐点、SPD、接地端子の位置関係を確認し、接続を短く整理できる配置を検討します。

また、SPDと保護機器の接地を別々に考えると、雷サージ時の電位差が問題になります。建物全体の接地方式と整合させながら、等電位化の接続関係を明確にしてください。接地抵抗を下げることだけで配線条件の問題が解消するわけではありません。出典:サンコーシヤ「SPDの効果的な使い方」

設計図には、SPDの記号だけでなく、接続先の接地端子、保護対象、分離器、必要な警報接点を記載します。接地工事の種別は接地設計の基礎、回路全体の整理は単線結線図の読み方も参照してください。

設計・発注前のチェックリスト

以下は案件ごとに記入して使う確認表です。空欄があれば、製品型番を確定する前に設計者・盤メーカー・機器メーカー間で条件をそろえます。

確認事項

残す情報

保護対象と影響

機器名/停止時の影響/保護する端子

侵入経路

電源・信号・通信の経路/屋外・別棟への配線

系統への適合

電圧/線数/接地方式/漏電遮断器との位置関係

SPD性能

クラス/Uc/Up/放電電流と試験条件/保護モード

保護協調

短絡条件/指定分離器/上流・下流SPDとの組合せ

取付詳細

接続配線経路/接地端子/必要スペース

保守

状態表示の確認方法/警報先/交換品と作業スペース

よくある質問

高圧避雷器があれば、低圧側のSPDは不要ですか?

高圧側の保護だけで、低圧側や通信回路を含むすべての機器保護が決まるわけではありません。機器の接続回路と侵入経路を整理し、低圧側の保護を別途検討します。

放電電流の大きな製品を選べば十分ですか?

電圧・接続方式への適合、Up、配線、接地、分離器も必要です。放電電流だけが大きくても、設置条件に適合しなければ選定を完了できません。

設置後は何を点検しますか?

採用品の取扱説明書に沿って、状態表示、警報、接続部などを確認します。異常時の交換手順と担当を決め、点検表に型式と設置場所を残しておくと、保守時に迷いません。