衛生器具設備の設計ガイド|種類・分類・適正個数算定法と器具給水/排水負荷単位を解説
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衛生器具設備の設計|適正個数の考え方・便器数の計算例と給水/排水負荷単位

衛生器具の種類と、法定最低数・混雑を考慮した器具数の違いを整理。事務所の便器数計算例、給水負荷単位の集計例、排水との使い分け、器具一覧の確認項目を解説します。

長

長谷川一夫

機械設備設計部

公開日
更新日

衛生器具設備は、大便器・小便器・洗面器・流しなど、人が水を使う場所と給排水系統をつなぐ設備です。設計では、利用に必要な器具数を決める検討と、その器具へ給水・排水する管路の検討を順に進めます。

「人数から器具数を決めること」と「器具数から管路の負荷を求めること」は別の計算です。この記事では、事務所の便器数を例にした最低数の確認、適正個数の考え方、給水・排水負荷単位の使い分けを整理します。

衛生器具の種類と設計する範囲

分類

主な対象

選定時に確認すること

水受け容器

大便器、小便器、洗面器、流し、浴槽

利用者、寸法、洗浄方式、設置高さ

給水器具

水栓、洗浄弁、タンク給水装置

流量・圧力、給湯、電源、保守

排水器具

トラップ、排水金具

排水接続、封水、清掃性

付属品

手すり、紙巻器、鏡、石けん供給器

操作位置、下地、動作空間、補充方法

器具の品番を決めた後は、平面形状だけでなく、給水芯・排水芯、壁や床の仕上げ、点検の方法まで施工図と整合させます。製品仕様図と施工説明書を同じ品番でそろえて確認してください。参考:LIXILの商品仕様図・施工説明書データサービス

適正個数は、最低基準と利用条件から決める

器具数の検討は、①適用法令・条例の最低条件、②用途と人数から見た利用の集中、③清掃・故障・増員を含む運用、の順に進めます。最低数を満たしていても、休憩時間に利用が集中する施設では待ち時間が長くなる場合があります。

空気調和・衛生工学会のSHASE-S206-2019「給排水衛生設備規準・同解説」は、衛生器具の設置個数、給水管径、排水通気管径を別の技術要項として扱っています。適正個数は、採用する算定法の用途区分とサービス条件を確認して求めます。参考:空気調和・衛生工学会の規準案内

前提条件

確認する内容

用途

事務所、学校、劇場、店舗、工場など。対象外の用途の算定表を流用しない

利用人数

在館者、来客、同時就業者等。どの人数で算定するかを明記する

ピーク

休憩・休演時の集中、連続利用、各階への分散

利用者への対応

車いす使用、介助、乳幼児連れ等と、利用できる便房の構成

運用

清掃中の閉鎖、故障時、将来の増員、管理方法

事務所の便器数:最低数の計算例

事務所衛生基準規則第17条の通常の男女別設置を確認する例です。同時に就業する男性労働者120人、女性労働者80人と仮定します。独立個室型便所に関する別の取扱い等はこの例では適用せず、人数を各区分で割り、端数がある場合は切り上げます。

対象

人数区分による基本的な数え方

本例の計算

最低数

男性用大便所の便房

男性60人以内ごとに1個

120÷60

2個以上

男性用小便所

男性30人以内ごとに1箇所

120÷30

4箇所以上

女性用便所の便房

女性20人以内ごとに1個

80÷20

4個以上

男性121人なら、大便所は121÷60を切り上げて3個、小便所は121÷30を切り上げて5箇所になります。女性81人なら5個です。人数が境界を超えた際の増加を、設計条件表に反映します。根拠:事務所衛生基準規則第17条。条文確認日:2026年9月16日。

これは事務所の労働者に対する最低条件の説明で、すべての用途の適正個数ではありません。来客利用、待ち時間、バリアフリー関係の基準、地域の条例などを別途確認し、最終の計画数を決めます。独立個室型便所を設ける場合も、便房数を任意に差し引かず、適用条件を確認してください。参考:厚生労働省の改正規則施行通知

器具給水負荷単位と器具排水負荷単位の違い

比較

器具給水負荷単位

器具排水負荷単位

評価する側

器具に供給する水

器具から排出する水

主な用途

対象系統の同時使用水量を求める

対象管路の排水負荷を集計する

選ぶ条件

器具種、洗浄方式、公衆用・私室用等

器具種、排水特性、採用規準等

集計後の検討

対応する換算図等→流量→圧力・損失・管径

適用する管径表等→横管・立管・勾配・通気

避ける混同

単位数をそのままL/minとしない

給水負荷単位をコピーして使わない

給水側で負荷単位から同時使用水量へ換算した後に、根拠なくさらに一律の同時使用率を掛けると、同時使用の考慮を重複させる可能性があります。採用する算定方法の手順を通して使ってください。

給水負荷単位の集計例

次は個数算定の例とは別の、小さな器具群の集計例です。沼津市の令和8年4月1日版給水装置工事の指針にある表2-7の「公衆用」の値を使います。同市の資料を使った手順の説明であり、計画地で一律に適用する値ではありません。

器具群

個数

1個の給水負荷単位

小計

大便器・洗浄タンク

4

5

20

小便器・洗浄弁

2

5

10

洗面器・給水栓

4

2

8

合計

10

—

38

得られた38は負荷単位の合計です。38L/minでも、管径38mmでもありません。同じ指針の同時使用水量図で対象の器具構成に対応する曲線を確認して流量に換算し、管路の水理計算へ進みます。混合水栓や給湯がある場合も、適用する資料の条件に合わせます。出典:沼津市の給水装置工事指針・表2-7/図2-2

器具の洗浄方式が変更されると、同じ便器数でも負荷条件が変わります。型式変更時は器具表だけでなく集計表も更新します。給水量から先は給水管径の決定方法、排水側は排水管径と勾配の決め方で検討します。

器具一覧を設計・発注・施工で共用する

記入欄

残す内容

識別

器具記号、設置階・室、品番、個数

個数の根拠

用途、人数、法令最低数、適正数の算定条件、計画数

給水・給湯

方式、必要流量・圧力、接続、負荷単位と出典

排水

排水方式・芯位置、トラップ、負荷単位と出典

電気

電源・電池・自己発電の別、消費電力、停電時の動作

建築・保守

取付下地、動作空間、手すり、点検・交換、清掃

節水型器具では1回の洗浄水量の削減と、管路で必要な排出・搬送性能を合わせて確認します。自動水栓や自動洗浄は、電源方式と停電時対応、電池交換、センサーの検知範囲も確認します。機能の詳細は非接触水栓・自動水栓の設計ガイドを参照してください。

設計レビューの確認項目

  • 法令の最低数と、待ち時間・来客・休止中の運用を考慮した計画数を分けている。
  • 便房の配置と利用者の動作空間を、器具単体の寸法とは別に確認している。
  • 器具数、給水負荷単位、排水負荷単位を別々の欄で管理している。
  • 採用した表・図の出典、版、器具の分類を計算書に残している。
  • 負荷単位の合計から流量・管径へ進む手順と、末端器具の条件が整合している。
  • 品番・個数変更を、給排水計算と電源・施工図へ反映する担当を決めている。