低圧分電盤と高圧受電用キュービクルを比較したイラスト
設備設計ナレッジ電気設備

低圧と高圧の違い|電圧区分・受電方式と契約電力の考え方

低圧・高圧・特別高圧の電圧区分と、低圧受電・高圧受電の設備構成を比較。交流400Vと高圧受電の関係、50kWの契約上の目安、契約電力と設備容量の違い、キュービクル・保安体制・増設計画を確認する手順を整理します。

猪

猪狩理

設備設計士

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更新日

低圧と高圧の違いは、まず電圧の区分です。日本の電気設備技術基準では、低圧は交流600V以下・直流750V以下、高圧はそれぞれを超えて7,000V以下、特別高圧は7,000Vを超える電圧を指します。

一方、電気の契約で使う「低圧受電」「高圧受電」は、供給条件や需要規模、受変電設備の構成に関わる話です。「50kW」は電圧の定義ではなく、供給方式を検討する際の契約上の目安として区別して理解します。

低圧・高圧・特別高圧の電圧区分

区分

交流

直流

低圧

600V以下

750V以下

高圧

600Vを超え7,000V以下

750Vを超え7,000V以下

特別高圧

7,000Vを超える

7,000Vを超える

根拠は電気設備に関する技術基準を定める省令第2条です。交流600Vは低圧に含まれ、交流6,600Vは高圧に含まれます。海外規格では区分が異なる場合があるため、輸入機器の資料にある「low voltage」をそのまま日本の法令区分と読み替えないようにします。

例えば三相400Vの機器は、日本のこの区分では低圧です。「家庭用100Vより高いから高圧」とは判断しません。電圧区分の説明は電気学会の解説でも確認できます。

低圧受電と高圧受電では、変圧する場所が違う

方式

供給の模式

需要家側で確認する設備

低圧受電

送配電設備の変圧器 → 100V・200V等で建物へ

引込、計量、主幹、分電盤、低圧配線等

高圧受電

高圧で建物へ → 需要家の変圧器 → 100V・200V・400V等の負荷

高圧引込、受電・保護・計測、変圧器、低圧配電等

高圧受電の建物にも、コンセントや照明等の低圧回路があります。建物が高圧で受電していることと、末端機器が高圧で動くことは別です。単線結線図で受電点、変圧器、負荷側の電圧を順に確認します。

キュービクルは受変電設備を金属箱に収める代表的な構成ですが、高圧受電設備がすべて同じ外観・構造とは限りません。構成機器はキュービクルとは、設備全体の役割は受変電設備の基本を参照してください。

50kWは、何の値かを確認して使う

低圧と高圧を検討する際は、一般に50kWが区切りの目安として説明されます。ただし、契約電力、契約設備電力、接続する機器の銘板容量の合計は同じ値ではありません。

用語

確認する意味

混同しやすい値

設備容量

機器の定格入力や出力、接続する負荷の規模

軸出力kW、電気入力kW、変圧器kVA

想定最大需要

同時使用や運転時間を考慮して計画する需要

全機器の単純合計、平均使用電力

契約電力

契約・約款の定めに沿って決まる電力

設計者が仮定した需要率による値

契約設備電力

適用約款の算定方法により求める値

メーカー定格の未補正合計

東京電力パワーグリッドの託送供給等約款(2026年10月1日実施)では、接続送電サービス契約電力500kW未満の新規供給等について、契約設備電力に応じた供給電圧を定めています。50kW未満で標準100V又は200V、50kW以上で標準6,000Vという原則があり、電灯・動力の合算や例外条件も規定されています。

したがって「30kWの電灯と30kWの動力を別々にすれば必ず低圧」「機器合計49kWなら必ず低圧」と決めず、需要場所と契約単位、容量の算定方法を確認します。地域や供給条件が異なる場合は、該当する一般送配電事業者・小売電気事業者へ協議します。

同じ50kWを送るときの電流を比べる

三相平衡、負荷の有効電力50kW、力率0.90、損失を無視する説明用の例を考えます。電流Iは次式で概算できます。

I[A] = P[kW] × 1000 ÷(√3 × V[V] × 力率)

計算条件

概算電流

三相200Vで50kWを送る場合

約160A

三相6,600Vで同じ50kWを送る場合

約4.9A

同じ電力なら電圧を上げると電流を抑えられるため、大きな電力を送る区間で高い電圧が用いられます。ただし6,600V側から変圧器で200Vに下げた負荷側は、同じ条件なら約160Aになります。高圧受電にすれば建物内のすべての配線を細くできる、という意味ではありません。

この例の6,600Vは比較用の電圧で、契約表の標準電圧の表記、実際の受電条件、機器の定格・最高使用電圧は別途照合します。絶縁、保護、短絡電流、敷設条件等を含む電線・機器の選定は、電流の計算だけでは決まりません。

受電方式は、初期費用と運用条件を合わせて比較する

検討項目

比較する内容

負荷と将来計画

空調、厨房、製造設備、EV充電等の同時使用・増設

受変電設備

機器・基礎・引込、設置面積、換気、騒音、搬入更新経路

保安・維持管理

適用する保安体制、点検、停電作業、故障時対応

費用

受電設備工事、契約条件、保守費、変圧器損失、将来更新費

供給までの工程

協議、供給設備工事、設置工事、検査、使用開始日

電力量単価だけを取り出して、方式変更で必ず安くなるとは判断できません。現行契約と同じ使用条件で見積りをそろえ、必要な設備投資・保守・損失も含めて検討します。高圧受電設備等に関する保安管理は、電気工作物の区分と制度に沿って確認します。

既存建物で区分を確かめる手順

  1. 請求書・契約書で契約種別と契約電力等を確認する。
  2. 単線結線図で受電点と変圧器、建物内の配電電圧を確認する。
  3. 機器表・負荷表と実際の運転状況を照合する。
  4. 増設・用途変更がある場合は、受電設備の余裕と供給条件を再確認する。
  5. 必要な協議・設計・保安体制と工事工程を整理する。

機器の銘板に200Vと書いてあるだけでは、建物の受電方式は分かりません。受電設備を開けて調べるのではなく、管理者が保管する契約・図面から確認を始めます。負荷から設備容量を計画する手順は受変電設備の容量計算で解説しています。

参考資料

資料確認日:2026年10月30日。供給条件の例は東京電力パワーグリッドの資料に基づきます。実案件では地域・契約・申込時点の条件を確認します。