kVA・kW・VA・Wの違い|力率を使った換算と設備容量の読み方
設備設計ナレッジ電気設備

kVA・kW・VA・Wの違い|力率を使った換算と設備容量の読み方

kVA・kW・VA・Wの違いを、有効電力・皮相電力・力率から解説。1kVAの換算、単相・三相の電流計算、モータの出力と入力の違い、kWhとの区別を計算例で整理し、変圧器や発電機の容量を検討する前の確認項目をまとめます。

猪狩理

設備設計士

公開日
更新日

kVAとkWは何が違う?換算には力率が必要

kVA(キロボルトアンペア)は皮相電力、kW(キロワット)は有効電力を表す単位です。交流の設備容量を読むときは、この二つを区別します。同じ1kVAでも、有効電力が何kWになるかは力率によって変わります。

有効電力P(kW)=皮相電力S(kVA)×力率PF

たとえば1kVA、力率0.8なら、有効電力は0.8kW=800Wです。1kVAを常に1kWと読み替えられるわけではありません。本記事の計算例は電力を消費する負荷を対象とし、力率は小数で表します。

VA・kVA・W・kW・kWhの比較表

単位

表すもの

換算・読み方

使う場面の例

VA

皮相電力

単相では電圧実効値V×電流実効値A

小容量の電源機器等

kVA

皮相電力

1kVA=1,000VA

変圧器・発電機等の容量

W

有効電力

熱・光・機械仕事等に使われる電力

機器の消費電力

kW

有効電力

1kW=1,000W

設備の電気入力、モータの軸出力等

kWh

電力量

一定電力ならkW×使用時間h

使用したエネルギーの集計

kWは大きさの単位であり、その数値が「電気入力」「軸出力」「冷暖房能力」のどれを表すかは別に確認する必要があります。空調機の冷房能力kWを、そのまま消費電力として負荷表へ入れることはできません。

同じく、10kWの機器を一定出力で2時間使った場合の電力量は20kWhです。10kWが1時間ごとに積み上がって20kWになるわけではありません。実際の運転では電力が変動するため、時間ごとの電力を積算して電力量を求めます。

力率とは?効率・需要率との違い

力率は、有効電力を皮相電力で割った比です。力率80%は計算式では0.80と入力します。正弦波の交流では電圧と電流の位相差との関係で説明でき、日本電気技術者協会の解説にP・S・力率の関係が示されています。

指標

何を見るか

混同を避けるポイント

力率PF

有効電力と皮相電力の比

kWとkVAの関係に使う

効率η

機器への入力に対する有用な出力の比

モータの軸出力から電気入力を求める際に使う

需要率

設備容量に対する最大需要の割合

同時使用や負荷集計の検討で使う

力率が0.8だから電気入力の20%が機器内で熱として失われる、という意味ではありません。機器の損失を扱う効率とは別の指標です。複数の指標をまとめて「余裕係数」として掛けると、計算根拠が分からなくなります。

インバーター等によって波形がひずむ場合、力率を位相差のcosφだけで扱えないことがあります。三相のひずみ波では計測器の皮相電力・無効電力の演算方法にも注意が必要です。HIOKIの電力演算式の解説を参照し、機器仕様に記載された力率や測定条件を確認します。

kVAからkW、kWからkVAへの換算

力率PFが分かっている場合は、次の式で換算します。kWとkVA、WとVAのように接頭語をそろえると、1,000倍の取り違えを防げます。

  • kW=kVA×PF
  • kVA=kW÷PF(PFが0でない場合)
  • W=VA×PF
  • VA=W÷PF(PFが0でない場合)

皮相電力

力率

有効電力

1kVA

1.00

1.00kW=1,000W

1kVA

0.90

0.90kW=900W

1kVA

0.80

0.80kW=800W

10kVA

0.80

8.00kW

計算例:電気入力30kWをkVAへ換算する

入力30kW、力率0.80なら、S=30÷0.80=37.5kVAです。同じ30kWでも力率0.90なら約33.3kVAです。負荷のkWが同じでも、力率によって電源側で扱うkVAが変わることが分かります。

この数値だけで「37.5kVA以上の変圧器なら選定完了」とは判断しません。負荷の同時使用、始動・突入、周囲条件、将来負荷などを別途確認します。上の計算は単位と力率の関係を示すためのものです。

電圧・電流からkVAを求める方法

以下のV・Iは実効値です。三相の式は平衡した正弦波交流を前提とし、Vは線間電圧、Iは線電流を使います。

方式

皮相電力S(kVA)

有効電力P(kW)

単相2線

V×I÷1,000

V×I×PF÷1,000

三相・平衡

√3×V×I÷1,000

√3×V×I×PF÷1,000

たとえば単相200V・20Aなら4kVA、力率0.9なら3.6kWです。三相200V・20Aなら約6.93kVA、力率0.9なら約6.24kWです。どちらも200V・20Aですが、方式が異なるため同じ容量にはなりません。

単相3線式の不平衡負荷や、不平衡・ひずみを含む三相負荷は、上の式へ合計値を入れるだけでは適切に評価できない場合があります。回路ごとの条件と計測方法を確認します。

モータの出力kWを入力kWと混同しない

モータ銘板のkWが軸出力を示す場合、電気入力は効率で割って求めます。説明用に、軸出力7.5kW、効率0.90、力率0.85を想定します。

  1. 電気入力=7.5÷0.90≒8.33kW
  2. 皮相電力=8.33÷0.85≒9.80kVA
  3. 三相200V・平衡とした線電流=9.80×1,000÷(√3×200)≒28.3A

効率と力率は説明用の仮定です。実際は機器の定格電流や選定資料を優先して照合し、始動時の電流や駆動装置を含む条件も確認します。すでに「電気入力」として示されたkWを、さらに効率で割る二重補正にも注意してください。

変圧器・発電機の容量検討へ進む前の確認

  • 数値が電気入力・機械出力・熱能力のどれかを確認する。
  • kW/kVA、W/VAをそろえ、力率・効率の出典を記録する。
  • 相数・電圧・周波数と、定格電流を負荷表に記載する。
  • 通常運転と始動・突入の条件を分ける。
  • 複数負荷では各力率や遅れ・進み、同時使用条件を整理し、力率の単純平均で置き換えない。
  • 需要率、将来余裕、機器の定格条件を別項目として残す。

変圧器の負荷集計と選定は受変電設備の容量計算、発電機の始動・燃料等は非常用発電設備の容量計算で解説しています。用途・面積から初期検討する場合は設備設計シミュレーション一覧の受変電設備の概算も利用できます。

よくある質問

1kVAは何Wですか?

力率が必要です。力率1なら1,000W、0.8なら800Wです。力率が不明なまま一つの値へ換算できません。

kVAからアンペアへ換算できますか?

電圧と方式が必要です。単相2線ならI=1,000S÷V、三相平衡ならI=1,000S÷(√3×V)です。SはkVA、Vは上の条件に合う電圧を使います。

力率が上がれば消費電力も必ず同じ割合で減りますか?

有効電力を一定とする場合、力率改善で主に変わるのは皮相電力と電流です。消費電力が同じ割合で減るとは限りません。配線等の損失や設備条件を分けて評価します。

kWとkWhはそのまま比較できますか?

比較できません。kWは電力、kWhは時間を通じて使った電力量です。使用時間と運転状況が必要です。

参考資料

資料確認日:2026年9月19日。数値例は記載条件に基づく説明用の概算です。実際の設備容量と機器選定は、メーカー資料・負荷条件・採用基準に基づいて確認します。