阻集器の種類と選定ガイド|グリース・オイル・砂阻集器の設置基準・容量算定・維持管理を設計目線で解説
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阻集器の種類と選定|グリース・オイルの設置基準と容量算定

阻集器の種類と捕集できる物質を比較し、法令上の設置条件、自治体規定、学会規格の役割を解説。SHASE-S 217-2025の選定方法と移行情報、流入流量と阻集性能の照合例、接続・通気・清掃計画まで整理します。

長

長谷川一夫

機械設備設計部

公開日
更新日

阻集器は、排水に含まれる油脂、土砂、毛髪などを分離・捕集し、配管の閉塞や排水設備への障害を防ぐ装置です。選定では、対象物に合う種類を決めたうえで、流入流量と捕集・貯留性能、接続条件、清掃方法を照合します。グリース阻集器は槽の容量Lだけで選ばず、適用する規格の版と必要性能を確認することが重要です。

阻集器とは|捕集できるものと限界

阻集器には、油を浮上させるもの、重い粒子を沈降させるもの、バスケットなどで異物を捕集するものがあります。すべてが同じ構造ではなく、排水の性質に応じて使い分けます。排水設備の中での位置付けは給排水衛生設備の全体像も参考にしてください。

グリース阻集器では、水より軽い油脂を上部に留め、厨芥などをバスケットや底部で捕集し、油脂・残さを分離した水を流出させます。表面には油脂が浮くため、「上澄みをそのまま排水する」という理解は適切ではありません。捕集した物質は、清掃によって系外に取り出す必要があります。

流れ

主な働き

管理上の要点

厨房排水→流入部・バスケット

大きな残さを捕集する

バスケットを取り外して清掃できること

分離槽→油脂は上部、沈殿物は底部

流れを落ち着かせて分離・貯留する

油脂・残さをためすぎないこと

分離水→所定の流出口→下流排水管

捕集した油脂を留めながら排水する

隔壁・流出口などを正しい位置に戻すこと

この表は働きを示した概念図で、内部流路は製品によって異なります。水に溶けた物質は通常のグリース阻集器で捕集できず、乳化した油の処理にも限界があります。有害物質の処理装置として一括して扱わず、排水水質に応じた処理を検討します。機能の根拠は日本阻集器工業会の解説で確認できます。

阻集器の種類と用途を比較する

種類

主な対象物

主な用途

選定時に確認すること

グリース阻集器

動植物性油脂・厨芥

飲食店、給食施設などの厨房排水

食種、利用人数、排水条件、清掃計画

オイル阻集器

ガソリン・鉱油等の分離可能な油分

洗車場、整備工場等の対象排水

油種、流入量、可燃性、通気・設置条件

砂阻集器

土砂など沈降する粒子

土砂が混入する洗浄排水等

粒子の性状、土砂量、排水量、清掃方法

ヘア阻集器

毛髪

理美容施設、浴場等

接続器具、流量、捕集部の目詰まり

ランドリー阻集器

糸くず・繊維

洗濯設備

洗濯機の能力・台数・排水条件

プラスタ阻集器

石こう等の沈殿物

歯科技工などの対象流し

材料、使用量、器具排水、沈殿物の回収

同じ施設でも排水の発生源によって適した種類は変わります。鉱油をすべて揮発性油と一括せず、実際の油種と性状を確認します。微細粒子や溶解成分まで、表の阻集器だけで処理できるとは限りません。前澤化成工業の算定資料でも、オイル・ランドリー・ヘア・プラスタはそれぞれ別の選定資料が用意されています。

設置基準は法令・自治体規定・学会規格を分ける

建設省告示第1597号では、油脂、ガソリン、土砂など、排水配管の機能を著しく妨げたり、設備を損傷したりするおそれのある物を含む場合に、有効な位置への阻集器設置を求めています。有効に分離でき、容易に清掃できる構造であることも重要です。「厨房という名称なら一律に同じ機器」という判断ではなく、実際の排水内容と適用条件を確認します。

確認するもの

主な役割

設計での使い方

建築関係法令・告示

設置が必要となる排水、構造・機能の要求

対象排水と必要な設備を確認する

計画地の下水道条例・排水設備基準等

排除基準、接続・届出・協議の条件

水質条件と地域の手続を確認する

学会規格・製品の選定資料

性能、試験、選定の方法

適用版と製品条件を決め、必要性能を照合する

告示の設置条件は日本阻集器工業会や京都市の排水設備基準にも示されています。自治体資料にある清掃周期や接続方法を、すべての地域で同一の法定義務として扱わないようにします。配管全体の法規確認は配管設備の建築基準法チェックも参照してください。

グリース阻集器の選定とSHASE-S 217-2025

最初に適用する規格の版を決める

SHASE-S 217-2025では、選定方法が利用人数に基づく方法へ集約され、各因子の標準値も見直されています。旧版の店舗全面積による計算を、版を示さずそのまま使わないことが大切です。

2026年10月確認時点で、下田エコテックの案内は2028年3月までを2016年版からの移行期間とし、2028年4月以降の設計案件に2025年版を適用するとしています。これは規格・認定品の取扱いに関する案内で、法律の施行日とは異なります。設計時点、発注仕様、行政との協議条件、メーカーの取扱いを照合して採用版を記録しましょう。

入力条件を決めてメーカーの現行資料で算定する

  1. 接続する厨房排水の範囲と、施設・食種を確認する。
  2. 利用人数の定義、営業・給食の運用条件などを、採用する算定資料に合わせて整理する。
  3. 清掃周期・排水条件等の入力項目を埋め、採用版の標準値と補正条件を確認する。
  4. 必要な流入流量と阻集・貯留性能を算定し、製品の許容値と照合する。
  5. 配置、流入・流出口高さ、蓋、保守空間まで含めて機種を確定する。

人数は座席数だけで置き換えず、資料が求める利用条件に合わせます。特殊な食種や大量の一括排水がある場合も、標準条件に当てはまるかメーカーに確認します。規格の係数を推測せず、前澤化成工業の2025年版算定資料やホーコスの規格別選定フォームなど、版が明示された資料で進めます。

容量Lだけでなく流入流量と阻集性能を照合する

槽内容積が大きければ、どの排水でも十分に処理できるわけではありません。グリース阻集器は、許容流入流量と標準阻集グリースの質量など、採用規格・製品資料に示される性能項目を確認します。必要量の算定と、算定結果に合う機種の照合は別の作業です。

仮定の必要性能と候補を比較する例

ここでは照合方法を説明するため、必要流入流量40L/min、対応する必要阻集量12kgが得られたと仮定します。以下は架空の候補性能で、実在製品の仕様や規格係数からの算定例ではありません。阻集量は同じ定義・評価条件で比較する前提です。

候補

許容流入流量

対応する阻集量

判定

A

50L/min

10kg

流量は満足するが、阻集量が不足

B

50L/min

15kg

この2条件を満足。寸法・接続・保守条件をさらに確認

C

30L/min

20kg

阻集量は満足するが、流量が不足

清掃間隔を長くすれば、その間に貯留する量も変わります。設置場所に収まる小型品を先に選び、後から清掃で帳尻を合わせるのではなく、実行できる管理計画を算定に反映します。過大な選定も場所・費用・清掃負担を増やすため、入力条件の妥当性から確認しましょう。

その他の阻集器は用途別に算定する

オイル阻集器、砂阻集器、ヘア・ランドリー・プラスタ阻集器に、厨房用グリース阻集器の式をそのまま使いません。接続設備の排水量と時間変動、捕集する物の量・性状、除去方法を調べ、用途別の規格・メーカー資料を選びます。必要に応じて関係行政に排除条件や設備構成を確認します。

接続・封水・通気と清掃動線を確認する

対象排水を阻集器に導く系統を明確にし、便所排水などの別系統をグリース阻集器へ混入させないよう計画します。雨水や他系統の流入も、分離性能を乱す過大流量の原因になります。系統の分け方は汚水と雑排水の分離設計で整理しています。

臭気対策では、阻集器自身のトラップ機能と封水、下流配管との接続を製品図で確認します。トラップを重ねると二重トラップによる排水不良を起こすことがあります。通気管を含め、排水通気方式の基本と整合させてください。

床置・埋設・床吊りなどの設置方法、蓋の開閉範囲、バスケットの引抜き高さ、清掃者の作業空間、回収物の搬出経路を確保します。清掃後に隔壁やトラップ部品を正しく復旧できることも重要です。排水を流せるだけでなく、維持管理を継続できる配置にします。

選定時に決めておきたい維持管理

  • 残さ、浮上油脂、底部堆積物をそれぞれ確認し、メーカーの管理方法と実際の蓄積量から清掃計画を決める。
  • バスケットの目詰まり、隔壁・流出口、封水、蓋の状態を点検する。
  • 捕集物は排水へ押し流さず、地域の取扱いと適切な回収・処分方法に従う。
  • 利用人数、食種、厨房機器、営業時間が変わったら、必要性能と清掃周期を見直す。
  • 適用規格の版、算定条件、採用機種の性能、清掃記録を残す。

阻集器は、種類の選定、必要性能の算定、配置、清掃の4つがそろって機能します。排水の実態に合う入力条件を確定し、その条件で運用できる機器と管理方法を選びましょう。