送水口から各階の放水口につながる連結送水管のイラスト
設備設計ナレッジ衛生設備

連結送水管とは|仕組み・設置基準と送水口・放水口の配置

連結送水管の仕組みと屋内消火栓・連結散水設備との違いを解説。設置対象、送水口・放水口の位置、水平距離とホース延長の確認、乾式・湿式、圧力計画や所轄消防との協議事項を整理します。

猪

猪狩理

設備設計士

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更新日

連結送水管は、消防隊が消防ポンプ自動車から建物内へ送水し、必要な階で消火活動を行うための設備です。屋外の送水口、建物内の配管、各階の放水口を一つの経路として計画します。

給排水設備の図面では管径や経路に目が向きがちですが、消防隊が接近・接続・放水できる位置にあることが重要です。この記事では、一般の建築物を中心に、設置基準の調べ方と配置検討の手順を整理します。

仕組み|外で受け、建物内を通し、必要な階で使う

消防ポンプ自動車 → ホース → 送水口 → 立上り配管 → 放水口 → 消防隊のホース・筒先

構成

役割

設計上の確認

送水口

消防車からの水を受け入れる

接近経路、接続空間、標識、対象系統

配管・弁類

放水口まで水を送る

耐圧、管径、経路、支持、区画貫通、排水・充水

放水口

消防隊がホースを接続して消火する

対象階、到達範囲、活動場所、接続高さ

加圧送水装置等

必要な条件で送水を補助する

適用条件、能力、電源、起動・監視、保守

設備の概要はヤマトプロテック「連結送水管 製品概要」も参照できます。送水口は屋外の消火用水を自由に取り出す水栓ではなく、放水口も一般の給水栓ではありません。

屋内消火栓・連結散水設備との違い

設備

主な使用者・働き

混同を防ぐ確認

連結送水管

消防隊が各階の放水口から放水

消防車から送水する経路と活動位置を確認

屋内消火栓設備

在館者等の初期消火を想定する設備

水源・ポンプ・ホース等の構成と操作方法を確認

連結散水設備

消防隊の送水で散水ヘッド等から放水

放水口からホースを延ばす方式とは区別する

スプリンクラー設備

火災に応じヘッド等から放水する設備

送水口が似ていても対象設備と配管を区別する

同じ場所に複数の送水口が並ぶ場合は、系統名・受持ち範囲が容易に分かる表示を計画します。配管や送水口の共用は、許容される条件と性能を確認した場合に限って検討し、見た目が同じという理由でまとめないようにします。

設置対象は消防法施行令第29条を入口に調べる

根拠は消防法施行令第29条と、消防法施行規則第30条の4・第31条等です。代表的な建築物の確認は次のようになります。表は全対象・特例を網羅するものではありません。

代表的な対象

初期確認の条件

図面へ進む前の追加確認

令別表第1の建築物

地階を除く階数が7以上

用途、階の数え方、設置部分、条例・特例

上記以外の同表の建築物

地階を除く階数が5以上、かつ延べ面積6,000㎡以上

二つの条件を両方確認する

地下街

延べ面積1,000㎡以上

一般建築物の地階と区別し、対象範囲を確認

このほかアーケード、道路の用に供される部分を有する防火対象物等の規定もあります。代表条件の確認には北浦製作所の設置基準資料も参考になりますが、最終判断は現行法令と所轄消防の条件を照合します。

たとえば地上7階・延べ3,500㎡の建物は、6,000㎡未満という理由だけでは対象外にできません。一方、地上5階・5,500㎡なら上表の第二の条件には当たりませんが、それだけで設置不要が確定するわけでもありません。階数と面積を別々の判定欄に残すと判断過程が明確になります。

送水口は消防車とホースの動線から決める

送水口は消防ポンプ自動車が容易に接近できる位置を基本に、道路・敷地内進入路・車両の部署位置から検討します。双口形、標識、接続高さ等の条件も照合します。建築物の外観に納まることと、活動時に使えることは別の確認です。

  • 植栽、駐輪、駐車、門扉、シャッター等で隠れたり塞がれたりしないか。
  • ホース接続後の曲がりと延長に必要な空間があるか。
  • スプリンクラー等の別送水口と取り違えにくいか。
  • 複数棟・複数系統の場合、送水先と圧力条件を識別できるか。

意匠変更で送水口を移す場合は、配管延長だけでなく、消防車の接近と送水圧力の計画も再確認します。道路との高低差や擁壁がある敷地では、立面図も有効です。

放水口は水平距離と実際の消火活動を確認する

令第29条の一般建築物の対象では、3階以上の階に、各部分から一つの放水口までの水平距離が50m以下となるよう配置することなどが基本です。地下街・アーケード・道路部分では対象部分と距離条件が異なります。階段室や非常用エレベーターの乗降ロビー等、消防隊が有効に活動できる位置を確認します。

平面図に半径50mの円を描く確認に加え、壁、施錠扉、段差、曲がり、階段、防火戸を含む活動経路も追います。水平距離の基準を、無条件にホースの延長距離と同じと考えないことが大切です。所轄の運用や特例に歩行距離等の条件があれば、それも別途確認します。

配置検討例|細長い事務所階

以下は架空の比較です。40m×20mの階で、西側階段付近に放水口候補Aを置き、東側の室までの平面上の距離は約41mとします。間仕切りを回り込む想定経路は55mになる条件です。

検討項目

候補Aの結果

次に行うこと

水平距離

最遠部まで約41m

その階の全範囲で基準を満たすか確認

想定する延長経路

扉と通路を経て55m

ホース・器具と所轄の運用を照合

活動場所

階段出入口付近

避難動線、扉の開閉、接続作業の空間を確認

代替案

東側階段にも候補Bを検討

活動範囲、配管経路、器具配置を比較して協議

この例は「41mなので問題なし」「55mなので必ず増設」という単独判定を示すものではありません。法令上の距離と、実際の活動計画の両方を資料にして判断する例です。

乾式・湿式と圧力計画を系統図で整理する

乾式は通常時に配管内を充水しない方式、湿式は充水しておく方式です。建物条件と所轄の基準から方式を決め、充水・排水、逆止弁、凍結、腐食、試験の方法を計画します。系統構成の例は大分市消防局の技術基準に示されています。同市の運用を全国共通の条件として扱わないようにします。

送水圧力は、放水に必要な圧力、高低差、配管・弁・ホース等の損失を合計して検討します。高層部だけでなく、低層部に過大な圧力がかからないかも確認します。加圧送水装置が必要な条件、起動方法、非常電源、監視、試験設備を系統図へ反映します。

条例と引渡し前のチェック

国の基準に加え、地域の条例・審査基準を確認します。たとえば名古屋市は一定の連結送水管について屋上放水口の計画を案内しています。地域固有の条件を、他地域の案件へ無条件に転用しないことも必要です。

  • 用途・階数・面積・条例から設置対象と対象階を記録したか。
  • 送水口へ消防車が接近でき、接続・表示の条件を満たすか。
  • 放水口の水平距離と、扉を含む活動経路を照合したか。
  • 高層部分の双口形放水口・器具格納箱等の条件を確認したか。
  • 方式、圧力、管径、弁、加圧装置、試験・保守の計画が整合しているか。

資料確認日:2026年10月30日。設計例は架空の条件です。各自治体資料の適用範囲と現行法令を確認し、所轄消防との協議結果を図面に残します。