ファン・コイル・冷温水配管を示したファンコイルユニットのイラスト
設備設計ナレッジ空調設備

ファンコイルユニットとは|FCUの仕組み・2管式と4管式の違い

ファンコイルユニット(FCU)の構造と冷暖房の仕組み、AHUとの役割の違い、2管式・4管式の配管構成を解説。全熱・顕熱能力、水量、風量、機外静圧、騒音の確認から、仮定条件による機器選定例、ドレンと保守空間の注意点まで整理します。

猪

猪狩理

設備設計士

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更新日

ファンコイルユニット(FCU)は、送風機と熱交換器を組み合わせ、冷水・温水などとの熱交換で主に室内の温度を調整する空調端末です。熱源で作った冷温水を配管で送り、室内空気をコイルに通して冷却・加熱します。FCU本体の能力だけでなく、熱源、換気、配管、ドレン、制御を組み合わせて計画します。

選定では「冷房能力が負荷を上回るか」に加え、顕熱能力、水温・水量、実際の風量、機外静圧、騒音、点検条件を確認します。本記事の数値例は選定手順を説明するための仮定です。

FCUの構造と、空気・水の流れ

基本となる部品は、ファン、熱交換器、フィルタ、これらを収めるケーシングです。冷房時にはコイル表面で結露するため、ドレンパンと排水経路も必要です。天井埋込形、カセット形、床置形などがあり、設置方式で吹出し、点検、更新の条件が変わります。

流れるもの

接続の概念図

設計で見る点

室内空気

室内 → フィルタ・ファン・コイル → 室内

風量、吹出し方向、ショートサーキット、清掃

冷温水

熱源 → ポンプ・配管 → FCUコイル → 熱源へ還る

水温、水量、圧力損失、弁、エア抜き

結露水

コイル表面 → ドレンパン → ドレン配管 → 排水先

排水勾配、トラップ、清掃口、漏水対策

換気用外気

外気処理設備等 → 対象室、又は対応するFCUへ

外気量、温湿度、FCUへの外気接続の可否

この表は役割を示す模式図です。コイルとファンの並びや外気の接続方法は機種によって異なります。室内空気を循環させる一般的なFCUを設置しただけでは、必要な外気が導入されるとは限りません。

構造と形式は日本冷凍空調工業会のFCU解説を参照できます。ダクトを接続する機種では、ダクトや吹出口の抵抗を含む運転条件を確認します。

FCUとAHUの違いは、空調システム内の役割で見る

観点

FCU

AHU

代表的な役割

室やゾーンごとの温度調整

外気処理や複数ゾーンの空気調和など

設置の例

天井内、窓際、各室など

空調機械室や屋上など

主に確認する組合せ

部屋の負荷、冷温水、換気との分担

外気・還気、コイル、フィルタ、送風・制御

保守の計画

室内の点検口、清掃時の立入り、ドレン

機械室の保守空間、フィルタ・コイル搬出、ダクト

AHUをすべて外調機と同義にしたり、FCUは小型だから一室専用と決めたりはできません。AHUで外気を処理し、FCUで窓際の負荷を受け持つ構成など、実際の分担を系統図で確認します。メーカーの新晃工業のFCU解説にも、このような役割分担が示されています。

2管式と4管式の違い

一般的な2管式は、往き・還りの2本で一つのコイルへ冷水または温水を供給します。同じ水系統の冷暖房は、熱源側の供給条件や切替運用に制約されます。室内スイッチでファンを止められることと、冷暖房を自由に選べることは別です。

4管式は、冷水往還と温水往還を分け、冷却用・加熱用のコイルへ供給する構成です。建物内で冷房と暖房の要求が分かれるときに対応しやすくなりますが、熱源側が両方を供給できることと、制御が適切であることが前提です。

方式

配管の模式

検討する場面

確認点

2管式

冷水又は温水の往き → 共用コイル → 還り

季節ごとに冷暖房を切り替えやすい建物

中間期、方位別負荷、切替日、テナント要望

4管式

冷水往還 → 冷却コイル/温水往還 → 加熱コイル

同じ時期に冷暖房の要求が分かれる建物

配管空間、弁・制御、熱源、工事費・運用費

ドレン管は、この2本・4本には含めません。4管式だから同じ室で常時冷却と加熱を同時に行う、という意味でもありません。通常の温度制御では不要な同時動作を避けるように設定し、除湿再熱など別の目的がある場合はその制御を明確にします。

選定前にまとめる8つの条件

  1. 設置形式と使用可能な寸法、点検・搬出方向
  2. 室内の温度・湿度と、FCU入口空気の条件
  3. 必要冷房全熱能力と顕熱能力、必要暖房能力
  4. 冷水・温水の入口温度、水温差、使用できる水量
  5. 吹出し・吸込み・ダクトを含む必要風量と機外静圧
  6. 使用時間帯ごとの許容騒音と採用するファン回転数
  7. 水量・風量・室温の制御方法と熱源側の運転条件
  8. ドレン排水、結露対策、電源、保守空間

同じ型式でも、入口空気、水温、水量、ファン回転数で能力が変わります。カタログの代表値だけを転記せず、選定条件を機器表に残します。機器選定項目の詳細は新晃工業「機器選定と機器能力表・機器一覧表」が参考になります。

計算例:全熱5.0kWでも顕熱能力を別に確認する

仮想の会議室について、FCUが受け持つ冷房全熱負荷5.0kW、顕熱負荷3.8kW、冷水入口7℃、設計水温差5Kを仮定します。外気負荷を別の外気処理設備がどこまで受け持つかは、あらかじめ負荷計算で区分したものとします。

水を密度約1kg/L、比熱4.186kJ/(kg・K)とする概算では、必要水量は次のとおりです。

水量[L/min] = 熱量[kW] × 60 ÷(4.186 × 水温差[K])

5.0 × 60 ÷(4.186 × 5) ≒ 14.3L/minです。この値は水側の熱収支による概算で、型式や水圧損を決める計算ではありません。不凍液を使う場合は密度・比熱等が異なります。

架空の候補

全熱能力

顕熱能力

本例の判定

A機

5.2kW

3.5kW

全熱は足りても顕熱3.8kWを満たさない

B機

5.1kW

4.0kW

全熱・顕熱の条件は満たす。静圧・騒音等を続けて確認

候補の能力値は説明用で、実在機種の値ではありません。実際には設計した水量、入口条件、使用ノッチ、必要機外静圧に対するメーカー選定値を比較します。冷房条件で選んだ後も、温水条件で暖房能力を満たすかを確認します。

静圧・騒音・ドレンで選定を仕上げる

天井埋込形にダクト、消音部材、フィルタなどを接続すると、抵抗によって風量が下がることがあります。カタログの風量が機外静圧のどの条件で示されているかを読み、実際の運転点で能力を確認します。

強運転で能力を満たしても、会議中や夜間の騒音条件に合わなければ運用できません。弱運転を通常設定とするなら、その条件での能力を照合します。騒音値も測定方法と条件が違う値を単純比較しないようにします。

ドレンでは、機器の圧力条件、排水口の位置、トラップの要否・高さ、排水先までの勾配を施工説明書で確認します。一律のトラップ寸法を全機種に当てはめず、清掃・詰まり・漏水時の点検方法も図面へ反映します。

図面・機器表の最終チェック

確認する項目

記録しておく図書

全熱・顕熱・暖房能力と入口空気・水条件

負荷計算書、メーカー選定書、機器表

冷水・温水の接続と制御弁、バランス調整

系統図、弁仕様、制御図

ファン設定、必要機外静圧、騒音

ダクト計算、機器表、室用途の要件

ドレン・保温・電源・点検と更新経路

平面・断面詳細、施工説明書、工事区分表

配管側の流量・管径の検討は冷温水配管の設計、熱源側の役割はチラーの選定と照合します。FCUだけでなく、熱源から室内・排水先まで条件がつながっていることを確認しましょう。

参考資料

資料確認日:2026年10月30日。配管模式と数値例は本記事の説明用に作成しています。