接地抵抗の測定方法と判定|測定計画・検査記録の確認ポイント
設備設計ナレッジ電気設備

接地抵抗の測定方法と判定|測定計画・検査記録の確認ポイント

接地抵抗の3極法・2極法・クランプ式の違いと、測定値を判定する前に確認すべき条件を解説。測定計画、異常値の切り分け、検査記録のひな型をまとめます。

猪狩理

設備設計士

公開日
更新日

接地抵抗測定では、数値の大小を見る前に「何を、どの接続状態で、どの方法で測った値か」を確認します。同じ接地端子でも、ほかの接地との接続状態や測定方式が違えば、数値の意味が変わります。

この記事では、設備設計者が測定計画と検査記録を確認するために、3極法・2極法・クランプ式の違い、判定の進め方、記録に残す項目を整理します。実際の測定操作は使用する測定器の取扱説明書に従い、接地線の切離しが必要な作業は、設備管理者と停電・安全措置・復旧手順を確定してから行います。

接地抵抗測定で何を確認するのか

接地抵抗は、接地極と大地との電気的なつながりを評価する指標の一つです。測定対象を「単独の接地極」「複数の接地極を接続した系統」「構造体を利用する接地」などに分け、完成図と現場の接続関係を照合します。

接地抵抗が小さいことだけで、保護導体の接続や保護装置の動作を含む設備全体の適合が確認できるわけではありません。検査項目を分け、接地抵抗の記録に導通確認などの結果を混在させないようにします。

確認する量

主な対象

記録時の区別

接地抵抗

接地極と大地の関係

接地極の範囲と測定方式を記載する

接続部・導体の抵抗

端子や導体の接続状態

どの2点間を確認したかを記載する

大地抵抗率

接地設計に使う土壌の性質

接地抵抗の測定値と区別する

HIOKIの測定器でも、接地抵抗、大地抵抗率、低抵抗の測定は用途を分けて案内されています。搭載機能と、その機能で評価できる対象を確認することが出発点です。参考:HIOKI「接地抵抗計 FT6041」

3極法・2極法・クランプ式の違い

方式

基本的な考え方

設計・検査での注意

3極法(3電極法)

測定対象の接地極と、電位・電流用の補助極を使う

補助極を配置できる場所と測定対象の接続状態を確認する

2極法(簡易測定)

既設の低抵抗な接地等を相手側に使う

相手側の抵抗を含む値になるため、対象だけの抵抗とは限らない

クランプ式

多重接地の閉じた経路に信号を加えて測る

ループが必要。単独接地極に挟むだけでは測定できない

3極法の測定原理

測定対象の接地極をE、電位測定用の補助極をP、電流用の補助極をCとすると、E-C間に交流電流Iを流し、E-P間の電圧Vから抵抗を求めます。基本式はR=V÷Iです。端子名は測定器によって異なるため、表示と説明書を対応させます。出典:共立電気計器「接地抵抗の測定方法」

2極法で得た値を、そのまま単独接地極の値にしない

2極法では、測定対象と相手側の接地抵抗を含む値が表示されます。相手側の抵抗が既知で、対象に比べて十分に小さいなど、方式の成立条件を確認する必要があります。「補助棒を打てない」という理由だけで切り替えず、今回の検査で求める値を得られるかを先に確認します。参考:共立電気計器「簡易測定」

クランプ式は多重接地の経路を確認する

クランプ式では、測定対象の抵抗に、ほかの接地側へ戻る経路の抵抗が加わります。戻り側の合成抵抗が十分に小さい場合に、対象の抵抗に近い値として扱えます。どこを挟んだか、どの経路でループが成立するかを図で残してください。出典:HIOKI「クランプ式接地抵抗計の測定原理」

補助極とクランプを組み合わせて接地極の電流を選択的に測る機能もあり、単純なクランプ式とは測定構成が異なります。検査記録では「クランプ使用」とだけ書かず、測定器の型式と使用モードを残します。

測定計画で先に決めること

  1. 対象を特定する:接地極番号、工事種別、接続機器、ほかの接地との連接を完成図で確認する。
  2. 判定根拠を決める:適用する法令・規程・特記仕様書と、その案件の条件を整理する。
  3. 方式を決める:必要な測定値、接地極の規模、補助極の設置場所、切離し可否から選ぶ。
  4. 安全と復旧を計画する:停電範囲、作業担当、周辺の立入管理、接続復旧後の確認を決める。
  5. 測定条件を共有する:使用器、校正・点検状況、配置図、再測定条件、記録様式をそろえる。

構造体利用接地や大規模なメッシュ接地では、一般的な小規模接地と同じ補助極配置では測定を評価できない場合があります。測定線への誘導なども考慮した計画が必要です。適用仕様書で求められる手法を確認し、必要に応じて専門の測定担当と協議します。参考:サンコーシヤ「接地抵抗の測定手法」

3極法の測定結果を受け取ったときの確認順序

1.補助極の配置と測定器の状態

測定器、リード、接続部の点検結果と、補助極の位置・距離を確認します。補助極間隔は、測定器の説明書と接地極の規模に応じて決めるもので、一つの距離をすべての現場に当てはめません。

2.地電圧と補助接地抵抗

地電圧や補助極の抵抗が測定器の許容範囲を外れていれば、表示値の信頼性を確保できません。エラーや警告の有無だけでなく、使用器の条件と照合します。許容値は機種ごとに異なります。

3.配置を変えたときの安定性

電位補助極の位置を変えたときに値が大きく変わる場合は、電極配置などの影響を疑います。都合のよい低い値だけを採用せず、採用する測定手順に沿って配置と再測定の記録を確認してください。参考:HIOKI「FT3151取扱説明書」2.2・2.5

判定は「適用条件」と「有効な測定値」をそろえて行う

接地抵抗の基準は接地工事の種別や設備条件によって異なります。まず適用する基準と条件を確定し、その条件を満たす測定結果と照合します。基準値の確認先として、経済産業省の技術基準・解釈の掲載ページと案件の特記仕様書を用意します。

A種・B種・C種・D種の使い分けは接地設計の基礎を参照してください。本記事の確認表では一律の合格値を置かず、案件ごとの根拠と基準値を記入する方式にしています。

例えば「測定値8.2Ω」という記録だけでは、合否を判断できません。これは説明用の架空値です。対象番号、接続状態、方式、判定根拠がそろって初めて評価できます。規定値に近い場合は、測定確度と案件で定める判定ルールも確認します。

検査記録に使える確認表

記録項目

記入する内容

対象

建物・場所/接地極番号/工事種別/対象機器

測定の範囲

単独・連接・構造体など/接続・切離し状態/対応図面

判定条件

根拠文書・適用箇所/適用条件/基準値

測定器

メーカー・型式・管理番号/使用モード/校正・点検状況

現場条件

日時/天候・地表状態/補助極位置と距離/接続点

測定条件

地電圧/補助極の状態/警告の有無/配置変更の記録

測定結果

各測定値と単位/採用値/判定/再測定の要否

復旧と引継ぎ

接続復旧の確認/写真/実施者・確認者/次回の注意点

値が高い・低すぎる・安定しないとき

高い場合:接地極の性能だけを原因とせず、接続部、補助極の状態、測定配置、地表条件、前回との測定条件の違いを確認します。測定が有効と判断できてから、接地設備の改善を検討します。

低すぎる場合:測定対象が想定どおりか、ほかの接地や金属部を経由する並列経路を含んでいないかを確認します。連接状態での値を、切り離した単独接地極の値として扱わないようにします。

安定しない場合:地電圧、補助極、接触状態、周囲からの誘導などを切り分けます。前回と比較する際も、方式や接続状態が一致しているかを先に確認すると、劣化と測定条件の違いを混同しにくくなります。

接地抵抗の測定方法と判定|測定計画・検査記録の確認ポイント | Monull