
CVケーブルの許容電流とは?サイズ別の考え方と補正係数の使い方を解説
CV・CVTケーブルの許容電流とは何かを、導体断面積との関係、CVとCVTの違い、気中・管路など布設条件別の補正係数(電流減少係数)、許容電流からのサイズ選定手順まで、電気設備設計の実務目線で解説します。幹線設計と電圧降下計算の記事とあわせてご覧ください。
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猪狩理
設備設計士
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CVケーブルの許容電流とは
CVケーブルの許容電流とは、そのケーブルに連続して流しても導体温度が許容値を超えない、安全に流せる電流の最大値を指します。CVケーブル(架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル)は、絶縁体に架橋ポリエチレンを用いたケーブルで、導体最高許容温度が90℃と高く、幹線や動力回路など幅広く使われます。許容電流を超えて使用すると絶縁体が劇化し、灼熱・絶縁不良・火災の原因となるため、ケーブルサイズの選定は許容電流を基礎に行います。
許容電流の目安とサイズの関係
CVケーブルの許容電流は、導体の断面積(sq:スクエアミリメートル)が大きいほど大きくなります。例えば単心では2sq・3.5sq・5.5sq・8sq・14sq・22sq・38sq・60sq・100sq…と断面積が大きくなるにつれて許容電流も段階的に増えていきます。ただし、許容電流の具体値は導体断面積だけでなく、心線数、周囲温度、布設方法(気中・管路・直埋など)によって変わります。そのため実務では、内線規程や電線メーカーの許容電流表を基準に、条件に応じた補正を加えて選定します。実際の数値は規格やメーカーによって異なるため、最新の内線規程・メーカーカタログで確認してください。
CVケーブルとCVTケーブルの違い
同じCV系でも、単心ケーブル3本をよ㠾り合わせたCVT(トリプレックス形)は、三芯一括のCVケーブルよりも放熱性に優れるため、同じ断面積でも許容電流が大きくなる傾向があります。幹線など大容量の回路ではCVTが採用されることが多く、導体断面積だけでなくケーブルの形態も許容電流に影響する点に注意が必要です。
補正係数(電流減少係数)の考え方
許容電流表の値はあくまで基準条件下の値であり、実際の布設条件に応じて補正係数(電流減少係数)を掛けて低減させる必要があります。条件が厳しいほど放熱がしにくくなり、許容電流は小さくなります。
気中・管路・暗渠など布設条件別
ケーブルを空気中に単独で布設する場合は放熱が良く許容電流を大きく取れますが、金属管や合成樹脂管に収めたり、ケーブルラックに多数を並べたり、直埋・暗渠にしたりすると放熱が悪くなり、許容電流は低減します。実務では布設方法ごとの基準値をもとに、同一管内の電線本数やラックの段数に応じた低減を反映させます。
周囲温度・多条布設による低減
周囲温度が高い場所(電気室や屋上、発熱機器の近くなど)では、基準温度との差に応じて許容電流を低減させます。また、複数のケーブルを隣接して布設する多条布設では、互いの発熱が影響し合うためさらに低減が必要です。これらの補正を省くと実務上の許容電流を過大に見積もることになるため、布設環境を前提にサイズを検討します。
許容電流からのサイズ選定手順
ケーブルサイズは次の手順で選定します。第1に、回路の負荷電流(連続使用の電流)を求めます。第2に、過電流遅断器(ブレーカー)の定格電流との保護協調を考慮し、布設条件に応じた補正係数を反映した上で、負荷電流以上の許容電流を持つサイズを選びます。第3に、選んだサイズで電圧降下が許容値内に収まるかを確認します。許容電流ではOKでも、長距離の幹線では電圧降下が支配的になり、より太いサイズが必要になるケースがあります。
電圧降下との整合(詳細は幹線設計記事へ)
ケーブルサイズは、許容電流と電圧降下の両方を満たす必要があり、実務ではどちらか厳しい方でサイズが決まります。短い回路では許容電流が、長い幹線では電圧降下が決め手になる傾向があります。電圧降下の計算方法や幹線全体の選定手順、超過時の対策については、関連記事「幹線設計と電圧降下計算」で詳しく解説しています。
まとめ
CVケーブルの許容電流は、導体断面積に加えて心線数・布設方法・周囲温度・多条布設などの条件によって変わります。内線規程・メーカー資料の許容電流表を基準に、布設条件に応じた補正係数を掛けて安全側にサイズを選定し、さらに電圧降下との整合を確認するのが適切な幹線設計の手順です。ケーブル選定は安全性とコストの両面に直結するため、幹線・電気室計画とあわせて経験豊富な設備設計事務所にご相談いただくことをおすすめします。