
吹出口・吸込口の選定と気流計画|アネモ・ノズル・ふく流など種類別の特徴を解説
吹出口・吸込口の選定と気流計画を、種類別(ふく流=アネモ・軸流=ノズル・線状・面状・グリル)の特徴、到達距離・居住域風速・NC値などの選定パラメータ、気流分布と居住域、ダクトとの取り合いや配置計画まで、建築設備設計の実務目線で解説します。ダクト設計と圧損計算の実務の記事とあわせてご覧ください。
吹出口・吸込口は、空調機でつくった送風を居住域にどう届けるかを決める、気流設計の仕上げです。ダクトや熱源が適切でも、吹出口の選定や配置を誤るとドラフト・温度むら・ショートサーキットなどの不快や苦情につながります。本記事では、吹出口・吸込口の役割、アネモ・ノズル・ふく流など種類別の特徴、選定パラメータと配置計画までを設計実務の目線で整理します。
吹出口・吸込口の役割
吹出口は調和空気を室内へ送り、吸込口は室内空気を系統へ戻します。重要なのは、居住域(床上おおむね1.8m以下)で温度・風速が快適範囲に収まることです。吹出した空気が居住域に到達するまでに周囲空気を巻き込んで温度・風速を緩和させるため、吹出口の拡散性と到達距離を用途に合わせて選びます。
吹出口の種類
- ふく流吹出口(アネモスタット・シーリングディフューザー):天井面に放射状に拡散し、拡散性が高い。天井高の居室空調で主流。
- 軸流吹出口(ノズル・パンカルーバー):到達距離が長く、吹き出し方向を調整できる。大空間やスポット空調に向く。
- 線状吹出口(ライン・スロット):細長い意匠で窓際のペリメーター処理に適する。
- 面状吹出口(多孔パネル):低乱れで均一な気流をつくり、クリーンルーム等の高清浄度空間に用いる。
- グリル・レジスター:壁面設置の格子型。風量調整ダンパ付き(レジスター)とダンパなし(グリル)がある。
吸込口の考え方
吸込口は吹出口ほど気流方向に影響しないため、圧損と騒音を押さえた風速で面積を決めます。天井リターン・グリル・ドアガラリーなどを用い、室全体で均一に戻るよう配置します。天井チャンバーをリターン経路として使う場合は、防火区画や防煙への影響を確認します。
選定パラメータ|到達距離・風速・騒音
- 到達距離・拡散半径:吹出し風が一定風速まで減衰する距離。室寸法と吹出口間隔に合わせて選ぶ。
- 居住域風速:一般に0.5m/s程度以下を目安とし、ドラフト感を避ける。
- 騒音(NC値):吹出口の風速が高いと騒音が増える。室用途のNC目標に合う風速・面積で選定する。
気流分布と居住域
冷気は下降しやすく、暖気は天井に滞留しやすいため、冷房・暖房の両方で居住域の温度むらを小さくする配置が大切です。窓際のコールドドラフトにはペリメーターの線状吹出口で対応し、吹出しと吸込みのショートサーキット(送風が居住域を経ずに戻ってしまう現象)を避けます。天井・内装や家具レイアウトとの取り合いも確認します。
配置計画とダクトとの取り合い
ペリメーター(外周部)とインテリア(内部)で負荷傾向が異なるため、吹出口の配置もゾーンに合わせます。吹出口はダクトの分岐・静圧と一体で計画し、各吹出口の風量バランスが取れるよう風量調整ダンパーを配置します。
設計チェックリスト
- 室用途・天井高に合った吹出口タイプ(ふく流・軸流・線状)を選んだか
- 到達距離・居住域風速・NC値を確認して選定したか
- ショートサーキットやコールドドラフトを避ける配置か
- ペリメーター・インテリアのゾーンとダクト・風量調整を整合させたか
吹出口はダクト・ゾーニングと一体で計画する末端部材です。ダクトのサイズ決定や静圧計算はダクト設計と圧損計算の実務を、ゾーン分けの考え方は空調ゾーニングの考え方を、外気の取り入れ方は外気処理と全熱交換器の選定をあわせてご覧ください。