
出来高請求とは?建設工事の計算方法と請求・入金管理の具体例
建設工事の出来高請求を、工種別の進捗率と金額で計算する具体例付きで解説。累計出来高、今回請求、請求済み未入金の違い、前払金・保留金の確認、請求から入金までの管理手順を整理します。
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与謝君惠
代表取締役
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出来高請求とは、工事の完成前に、実施した工事の進み具合に応じて代金の一部を請求することです。工事代金を段階的に回収できれば立替負担を抑えられますが、請求できる時期・金額は契約条件や出来高の確認手続きによって決まります。施工の進捗、請求、入金を別々に管理することが大切です。
出来高請求と完成時の一括請求の違い
支払方法 | 代金を請求・受領する段階 | 資金管理の着眼点 |
|---|---|---|
完成時の一括請求 | 契約で定めた完成・検収等の条件を満たした後 | 完成までの材料・外注費等の立替が長くなることがある |
出来高に応じた部分請求 | 契約に基づき、出来高を確認して段階的に請求 | 確認日、締日、支払日までの時間差を管理する |
着手金・前払金 | 契約で定めた着工時等に受領 | 後の請求でどう控除・精算するかを確認する |
国土交通省の民間建設工事標準請負契約約款(甲)の契約書例にも、部分払と請求締切日を定める欄があります。ただし、標準約款の記載が個別工事に自動適用されるわけではありません。自社が締結した契約書・約款・支払条件を確認してください。
請求前に合意しておきたい6項目
- 請求頻度と締日:毎月など、どの時点の出来高を対象にするか。
- 出来高の認定方法:数量、工種、工程など、何を根拠に進捗を測るか。
- 確認する人と資料:発注者・監理者等の確認手続き、写真や数量表等。
- 対象金額:出来高の全額か一定割合か。未施工材料等を含める条件。
- 控除・精算:前払金、保留金、既請求・既払額等の扱い。
- 支払日と変更手続き:確認から入金までの期間、追加変更の反映方法。
公共工事と民間工事、元請契約と下請契約では定めが異なります。「出来高の9割」など特定の契約の計算方法を、すべての工事に共通するルールとして扱わないでください。
工種別の金額で出来高を計算する
以下は税抜契約額1,000万円の架空例です。工種別の契約金額と進捗を双方で確認し、その出来高相当額を全額請求できる契約と仮定します。前払金・保留金・変更工事・税金の調整はありません。実際の請求書には契約に応じた調整と消費税等を反映します。
工種 | 契約金額(万円) | 確認済み進捗率 | 累計出来高(万円) |
|---|---|---|---|
機器設置 | 200 | 100% | 200 |
配管工事 | 300 | 60% | 180 |
電気・制御工事 | 500 | 20% | 100 |
合計 | 1,000 | 金額で加重した全体進捗48% | 480 |
計算は「工種の契約金額×確認済み進捗率」を合計し、200+180+100=480万円です。工種ごとの規模が違うため、100%・60%・20%を単純平均して全体進捗60%とすることはできません。また、投入した費用の割合と請求に使う進捗率が一致するとは限りません。
累計出来高・今回請求・未入金を分ける
同じ例で、前回までに300万円を請求し、そのうち200万円が入金済みだったとします。今回の新しい出来高分と、以前請求した未入金を分けて計算します。
管理する金額 | 計算 | 金額(万円) |
|---|---|---|
累計の請求対象額 | 確認済み出来高の合計 | 480 |
前回までの請求額 | 請求台帳で確認 | 300 |
今回新たに請求する額 | 480-300 | 180 |
前回までの請求済み未入金 | 300-200 | 100 |
今回請求後の未入金合計 | 100+180 | 280 |
未入金100万円を、新しい出来高としてもう一度請求額に加えないことが重要です。請求書に前回未入金を参考表示する場合も、今回請求額とは欄を分けます。契約に基づく部分払額の計算と、請求台帳の未回収管理は照合しながら進めてください。
前払金・保留金・追加工事がある場合
前払金は契約で定めた方法で控除する
すでに受け取った前払金を、いつ・どの割合で精算するか確認します。毎回全額を差し引いたり、一度控除した金額を再び控除したりすると誤りになります。前払金の受領額、今回精算額、未精算残高を別に持ちます。
保留金は解除条件と受取予定を管理する
契約に保留の定めがある場合は、割合、対象、支払われる条件と時期を確認します。出来高が増えても同額がすぐ入金されるとは限らないため、保留分を今月の使える資金に含めないようにします。
追加工事は合意した金額と対象期間を確認する
当初工事と追加分の出来高を混ぜず、変更契約・見積・指示記録と照合します。未合意の金額を確定入金として予測しないでください。変更時の確認は書面や合意の証拠を整理する方法も参考になります。
出来高確認から入金までを日付で追う
例えば9月末の出来高を確認し、10月5日に請求、10月末に入金する契約なら、9月末に発生する材料費等の支払いには、その入金を使えません。出来高請求を導入しても、確認・請求・支払までの時間差は残ります。
- 現場:締日前に数量・写真・工種別進捗をまとめる。
- 請求担当:契約条件、承認結果、前回請求と控除額を照合する。
- 経理:請求日、入金予定日、実際の入金日、未回収残高を更新する。
- 経営者:入金遅延を織り込んだ最低残高と、次の支払いを確認する。
出来高請求額をそのまま売上にしてよい?
請求、入金、会計上の収益認識は別の論点です。収益を一定期間にわたり認識するか、ある時点で認識するかは、適用する会計基準と契約の実態に基づいて判断します。請求した割合だけで売上や利益を決めず、税理士・会計士等に自社の処理を確認してください。
入金が遅れている場合は工事代金の未払い対応、必要な立替額は運転資金の計算、会社全体の管理は資金繰り表の作成手順で確認できます。
参考資料・確認日
公表資料の確認日:2026年9月25日。制度の利用可否や手続きは各公式窓口で最新の条件をご確認ください。