
BIMとは?設備設計での使い方を図面・属性情報の具体例で解説
BIMの意味と設備設計での使い方を、ダクト1本の形状・寸法・系統・属性情報から解説。平面図・断面図・集計表の関係、自動で連動する範囲、系統と接続の考え方、初めて受け取ったモデルの確認項目を具体的に整理します。
長
長谷川一夫
機械設備設計部
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BIM(Building Information Modeling)は、建物の形状と、部材の仕様・性能などの情報を結び付けて扱う方法です。設備設計では、ダクトや配管を立体的に配置するだけでなく、系統、サイズ、材質などを管理し、図面や集計に利用します。
例えば天井内のダクトを選択したとき、「どこにあるか」と「何のためのダクトか」を同じ要素から確かめられることが、BIMを理解する入口になります。本記事では説明用のダクトを例に、情報の持ち方と利用の流れを整理します。
BIMは建物の形と情報を結び付ける
国土交通省の用語定義では、BIMは三次元の形状に加え、室名・面積、材料・部材の仕様・性能などの属性情報を持つ建築物情報モデルを構築するものとされています。国土交通省の用語定義
「属性情報」は、その要素が何かを説明するデータです。照明器具なら型番や消費電力、ポンプなら機器番号や仕様、ダクトなら系統名や材質などが該当します。必要な項目は、設計検討、図面作成、数量把握、維持管理といった利用目的から決めます。
BIMは特定のソフト名ではありません。また、CADでも属性や3Dを扱える製品があります。比較するときは「CADだから情報がない」と決めず、どんな情報を持ち、図面や他のソフトへどう渡せるかを確認してください。詳しくはBIMと2D・3D CADの機能の違いで整理しています。
ダクト1本に持たせる情報の具体例
次の表は、給気ダクトを想定した学習用の例です。実際の設計条件や標準仕様を示すものではありません。
項目 | 説明用の設定例 | 何を確認するために使うか |
|---|---|---|
形状・寸法 | 幅500mm、高さ300mm、長さ6,000mm | 天井内の占有範囲、図面表現、数量の確認 |
位置 | 2階、ダクト中心が当該階FLから2,800mm | 梁・天井・他設備との高さ関係 |
系統 | 給気、系統名SA-01 | どの用途・範囲の設備かを識別 |
材質・仕様 | 案件で定めた材質・仕様の識別情報 | 設計図書との照合、条件別の集計 |
確定状況 | ルート検討中、機器接続は未確定 | 他の担当者がその情報を使ってよい範囲 |
寸法や位置はモデルから取得できる場合があり、材質や確定状況は入力・設定が必要です。表にある項目が、どのソフトでも同じ名前で最初から揃っているとは限りません。案件で使うソフトとテンプレートに合わせて項目を設けます。
形が合っていても、系統名が空欄なら系統別に集計できません。逆に必要な情報を全て細かく入力しても、その工程で使わなければ作業が増えます。まずは誰が何を確認するための情報なのかを決めましょう。
一つのモデルを平面図・断面図・集計表に使う
BIMでは同じ設備要素を異なる向きや条件で表示し、図面や表へ展開します。先ほどのダクトなら、平面図で経路、断面図で高さ、集計表で長さや系統を確認できます。
成果物・表示 | モデルから利用する情報 | 人が別に確認すること |
|---|---|---|
平面図 | 平面上の位置、経路、サイズ | 縮尺、表示範囲、注記・寸法の読みやすさ |
断面図・3D | 高さ、部材の形状、周囲との位置関係 | 保温や点検空間が表現・確認の対象か |
集計表 | 対象要素の長さ、分類、材質など | 対象階、除外条件、単位、重複・未入力 |
他社との共有モデル | 合意した形状と属性 | 書き出し後の位置・属性、受け手の利用範囲 |
同じモデルを参照する図面・表は、モデル変更に連動させられます。ただし、別に描いた詳細図、手入力の文字、外部へ書き出したPDFや数量表まで、いつでも自動的に変わるわけではありません。どの成果物がモデルとつながっていて、どれが別管理なのかを明確にします。
例えばダクト幅を変更した場合、形状だけでなく、ルートの余裕、サイズの表示、集計条件、既に提出した図面への影響を確認します。「モデルを直したら完了」ではなく、変更後に必要な成果物を再確認して発行するところまでを作業に含めます。
設備BIMでは系統と接続も重要になる
空調・衛生・電気設備は、機器同士をつなぐ経路と、どの系統に属するかが重要です。Revitでは、機器、ダクト、配管などをシステムとして扱い、モデルの条件に応じて計算や解析にも利用します。AutodeskのMEPシステム解説
見た目が接していること、ソフト上で接続されていること、設計上正しい接続であることは、それぞれ確認が必要です。モデルの一部を受け取っただけでは、系統の全体や計算条件が含まれていない場合もあります。
設備設計でBIMを使うときは、空間の確認に使うモデルなのか、系統・数量まで利用するモデルなのかを区別します。利用目的を揃えることで、受け手が情報を過信したり、不要な情報入力が増えたりするのを防げます。
初めてBIMモデルを受け取ったら確認すること
モデルを開けたら、すぐ設計や集計に使う前に、次の順で確認します。
- 用途と版:検討用か、承認済みか、いつ・誰が発行したモデルか。
- 対象範囲:建物全体か一部の階か、どの設備系統・工種が含まれるか。
- 位置と単位:基準階、高さ、座標、単位が他のモデルと揃うか。
- 属性:必要な系統名・材質・機器番号などが入り、意味が説明されているか。
- 不足・未確定事項:未入力や仮の値を、確定した情報と見分けられるか。
閲覧には対応するビューアを使えますが、無料で閲覧できることと、自動で干渉を検出できることは別です。必要な機能と対応形式を確認してください。IFC形式で受け取った場合は、IFCファイルの開き方と注意点へ進むと、閲覧と編集の違いを整理できます。
3DモデルがあればBIMとして使えますか?
まず、利用目的に必要な情報が入っているかを確認します。形状だけでも空間の検討に役立ちますが、数量や系統を扱うには、そのための分類・属性・接続条件が必要です。
BIMを導入すれば設備設計は自動化できますか?
図面への展開や集計などを支援できますが、設計条件、機器選定、法令・仕様への適合、他分野との調整は担当者が判断します。自動化の範囲と確認方法をセットで決めることが大切です。
最初は一つの設備要素を追いかける
BIMの学習では、ダクトや配管を一つ選び、形状・属性を確認し、平面図・断面図・集計表で同じ要素がどう表示されるかを追うと理解しやすくなります。情報を一つ変更したとき、何が変わり、何を別に直す必要があるかまで確かめましょう。
その上で、自社の案件で利用する範囲を決めます。採否やCADとの併用を検討する場合は、設備設計でのBIM導入判断を参考にしてください。