RUG基準ファミリとシェアパラメータの使い方|設備BIMの土台を整える実務ガイド
CAD/BIMナレッジデータ構造

RUG設備ファミリ・テンプレートの使い方|共有パラメータと社内標準の整え方

RUG設備ファミリ・テンプレートの役割と対応版を整理。共有パラメータの名前・GUID・値の違い、タグと集計表の確認例、原本を残した社内カスタマイズ、更新時の差分検査まで、Revitの社内標準へ取り込む手順を解説します。

長

長谷川一夫

機械設備設計部

公開日
更新日

RUGが公開する設備ファミリ・テンプレートは、Revitで設備BIMの環境を整えるときの共通の出発点になります。導入時は、ファミリだけでなく、対応する仕様書・テンプレート・共有パラメータも確認し、小さな検証用プロジェクトでタグと集計の結果を確かめましょう。

この記事では、RUG配布物の役割、共有パラメータの名前・GUID・値の違い、社内項目の追加と更新管理を整理します。配布物の名称・版は2026年10月8日に公式ライブラリで確認した情報です。

RUGの設備向け配布物と対応バージョン

RUGはRevitのユーザーコミュニティです。公開ライブラリには設備ファミリやテンプレートなどがあり、分野間連携と標準化に配慮したコンテンツとして提供されています。すべての案件でそのまま適合するという意味ではなく、案件の要求と照合して採用します。

配布物の例

確認した版・対応製品

主な役割

設備ファミリ

Revit 2024用ver2.0.1追加汎用ファミリ、ver2.0の機械・電気設備など

機器や器具等のモデル部品

設備テンプレート

Revit 2024用ver2.0.1など

プロジェクトの初期設定の基盤

設備施工テンプレート

Revit 2024用ver2.0

設備施工向けの作業環境

共有パラメータ_設備

ver2.0

複数のファミリ等で使う属性の定義

設備ファミリ仕様書

機械設備ver2.0、電気設備ver1.1など

配布ファミリの仕様の確認

同じページに複数世代の配布物があります。「Revit 2024」は製品の対応版、「ver2.0.1」は配布物の版です。両者を分けて記録し、必要な組み合わせを確認します。また、ジェネリックファミリの入力済みパラメータは参考値のため、実案件では見直すよう案内されています。RUG公式ライブラリ

一般的な入手先の探し方やRFAのロード手順は、Revitファミリのダウンロードと使い方で説明しています。ここからは社内標準に取り込む手順を扱います。

最初は小さなプロジェクトで組み合わせを確認する

配布ファイルを既存案件へまとめて入れる前に、使用するRevit版で検証用プロジェクトを作り、代表的な機器を1〜2種類配置します。

  1. 配布元URL、取得日、ファイル名、対応Revit版、配布物の版を記録する。
  2. ダウンロードした原本を保管し、検証にはコピーを使う。
  3. 仕様書を読み、必要なテンプレート・ファミリ・共有パラメータを選ぶ。
  4. テンプレートから検証用プロジェクトを作り、機器を配置する。
  5. タグ表示、集計、タイプ変更、コネクタと接続先を確認する。
  6. 社内で採用する設定と、案件ごとに入力する項目を分けて記録する。

例えば空調機なら、形状が置けることに加え、機器番号、能力の単位、タグの表示先、接続に使うコネクタまで確認します。数値が表示されたことだけで正しいと判断せず、入力した値と集計結果を突き合わせます。

共有パラメータの名前・GUID・値は別のもの

共有パラメータは、複数のファミリやプロジェクトで使える「項目の定義」です。定義は独立したファイルに保存されますが、同じ項目を使った別プロジェクトの値が自動で同期されるわけではありません。Autodesk:共有パラメータ

管理するもの

意味

確認のポイント

名前

利用者が項目を識別する表示名

同じ名前だけで同一と判断しない

GUID

共有パラメータを識別するID

既存項目を再作成して置き換えない

データ型・単位

値の扱い方

文字・数値・長さ等を確認

値

各機器やタイプに入力する内容

案件で採用した仕様と照合

タイプ/インスタンス

値を持たせる単位

機器ごとに変えるか、同タイプでそろえるか

Revitは共有パラメータを名前ではなくIDで識別します。削除して同名で作り直しても、元と同じ項目にはなりません。また、プロジェクトから共有パラメータを削除すると値も失われるため、項目整理の前に利用箇所とデータを確認します。Autodesk:共有パラメータの管理上の注意

集計表の項目はすべて共有パラメータにする?

すべてではありません。プロジェクトパラメータも単一カテゴリ・複数カテゴリの集計に利用できます。既存の組み込み項目で目的を満たせる場合もあるため、最初に「どこへ表示するか」「どのファミリや案件で共通利用するか」を決めます。Autodesk:プロジェクトパラメータ

ファミリに追加した独自情報をタグで扱うなど、共有定義が必要な用途では共有パラメータを選びます。似た名前の項目を増やす前に、配布データ内に使える定義がないか確認しましょう。

タグと集計表で同じ値を確認する例

検証では、機器A・Bにそれぞれ「AHU-01」「AHU-02」という機器番号を入力し、タグと集計表で一致するかを確認します。これは運用を確かめる例であり、RUG配布物の特定の項目名を指定するものではありません。

確認操作

期待する結果

違う場合に見る箇所

機器を2台配置して番号を入力

AとBを区別できる

タイプ値とインスタンス値の使い分け

タグを配置

それぞれの機器番号が表示される

ラベルが参照する項目とGUID

集計表に項目を追加

2台の値を確認できる

対象カテゴリ、フィルタ、集計方法

機器Aの値を変更

意図した表示だけが変わる

タイプ共有、参照先、重複項目

タグが空欄なら、機器の入力値、タグの参照項目、対象カテゴリを順に見ます。電気の回路や盤情報まで扱う場合は、Revitの電気回路・盤スケジュールの設定も合わせて確認します。

社内独自項目は原本と分けて管理する

社内仕様を追加するときは、配布元の原本、検証中の版、社内で承認した版を区別する運用をおすすめします。原本を残せば、更新時に「配布元が変えた箇所」と「社内で変えた箇所」を比較できます。

管理表には、項目名、GUID、データ型、対象カテゴリ、タイプ/インスタンス、参照するタグ・集計表、追加理由、担当者を記録します。社内の独自項目には接頭辞やグループを付けると探しやすくなりますが、名前だけで由来や互換性が保証されるわけではありません。

例えば機器の「確認担当」を追加する場合も、先に必要な表示先を決め、既存項目で代用できるかを確認します。そのうえで検証用の機器と集計表へ反映し、入力・表示・変更の結果を確認してから社内版に採用します。

更新するときの差分確認チェックリスト

  • 配布元の更新内容と、現在使っている版を確認したか。
  • 形状、タイプ、コネクタ、パラメータの追加・変更を比較したか。
  • GUIDやデータ型の変化で、既存タグ・集計表に影響がないか。
  • 入力済みの値と社内で追加した項目を維持できるか。
  • 検証用プロジェクトで確認し、適用対象と戻せる版を記録したか。

最新版を取得しただけで、進行中の全案件へ直ちに適用する必要はありません。新規案件から使うか、既存案件へ移行するかを、修正内容と影響範囲で判断します。空調系統の標準も見直す場合は、Revit MEPのシステム設定と整合を取ります。

よくある質問

RUGと同じ名前の共有パラメータを作れば使えますか?

名前が同じでもGUIDが異なれば別の項目です。必要な定義を確認し、既存ファミリやタグが参照する項目と合わせます。

配布ファミリの能力や寸法はそのまま採用できますか?

入力済みの値を案件の採用仕様として扱わず、仕様書と機器資料で確認します。採用機器が決まったら、モデル・機器表・図面で同じ条件になっているか照合しましょう。

参考資料

公開情報の確認日:2026年10月8日。