MEPとは|国内の「設備設計」との違い・Revit MEP・MEPエンジニアを実務目線で整理
CAD/BIMナレッジ導入

MEPとは?建築設備の意味・3分野の違いとRevit MEPを解説

MEPとは、建築の空調・電気・給排水衛生設備を表す言葉です。M・E・Pの意味と設備の具体例、日本の設備設計との関係、BIM・Revit MEPとの違いを整理。MEPエンジニアやコーディネーターの役割、業務範囲を確認するポイントも解説します。

長

長谷川一夫

機械設備設計部

公開日
更新日

MEP(エムイーピー)とは、Mechanical・Electrical・Plumbingの頭文字で、建築における空調などの機械設備、電気設備、給排水衛生設備をまとめて表す言葉です。日本の「建築設備」に近い意味で使われ、特定のソフトの名前ではありません。

「MEP設計」は設備の設計業務、「MEPモデル」は設備を表すモデル、「Revit MEP」はRevitの設備設計機能を指す文脈で使われます。まず分野としてのMEPを理解すると、仕様書やBIM関連資料を読み分けやすくなります。

MEPのM・E・Pは何を指す?

建築分野では、次のように整理すると理解しやすくなります。設備の分類と契約上の担当範囲は必ずしも一致しないため、下表は代表的な対応です。

略語・英語

日本語で近い分野

設備・部材の例

M:Mechanical

空調・換気などの機械設備

空調機、送風機、ダクト、空調用の配管

E:Electrical

電気設備

受変電設備、分電盤、照明、コンセント、ケーブルラック

P:Plumbing

給排水衛生設備

給水管、排水管、給湯管、衛生器具

配管があるからすべてPになるわけではありません。例えば空調機へ冷温水を送る配管は、機械設備の系統として扱われます。消火、ガス、通信、防災設備などの担当範囲は、プロジェクトの区分を確認してください。

AutodeskのRevit公式ヘルプのMEP解説でも、機械・電気・配管の各システムを扱う機能が案内されています。

MEPと日本の「設備設計」はどう違う?

建物の空調・電気・衛生を扱う点では、MEPと日本の設備設計は広く重なります。英語の図面や求人、BIMソフトの説明でMEPと書かれていても、それだけで日本とは別の設計業務を意味するわけではありません。

違いを確認すべきなのは呼び名よりも、具体的な業務範囲です。「MEP一式」という記載だけでは、消火や弱電を含むのか、設計計算まで行うのか、施工図や保守情報まで作るのかは分かりません。また、国や地域の設計基準、資格・責任の扱いも、MEPという名称だけでは判断できません。

「海外では一人が三分野をすべて設計する」「国内では分野間の調整をしない」といった理解は避けましょう。専門分野ごとの担当と、分野をまたぐ調整役の置き方は、組織や案件によって変わります。

MEP・BIM・Revit MEPの違い

MEPは対象分野、BIMは情報を扱う方法

MEPは建築設備という対象分野を表します。一方、BIMは建物の形状と属性情報を持つモデルを使い、設計・施工・維持管理などで情報を活用する考え方やプロセスです。MEPの設計は2D図面でも行えますし、BIMは設備以外の意匠・構造にも使えます。

設備分野でBIMを活用することが「設備BIM」です。活用目的や導入の進め方は、設備BIMとは?意匠BIMとの違い・活用例で解説しています。

Revit MEPはRevitの設備設計機能を指す言い方

RevitはAutodeskのBIMソフトで、設備設計に使う機能を備えています。「Revit MEP」という表現は、Revitでダクト・配管・電気設備やその系統を扱う機能、または設備分野での利用を指す文脈で使われます。MEPという別のソフトを追加しなければ設備設計ができない、という意味ではありません。

例えば、空調機と吹出口を配置してダクトをつなぐ、器具を電気回路に割り当てる、といった作業が対象です。ただし、設備を3Dで置くだけで設計条件や系統の接続が正しくなるわけではなく、入力と確認が必要です。具体的な対応範囲はRevitで設備設計はどこまでできるかをご覧ください。

MEPエンジニア・モデラー・コーディネーターの役割

以下は役割を整理するための目安です。職名だけで担当範囲や承認責任が決まるものではなく、一人が複数の役割を兼ねることもあります。

  • MEPエンジニア:担当する設備分野の要求条件を整理し、容量、方式、機器、ルートなどの設計を検討する役割。
  • MEPモデラー:設計条件やモデリングルールに沿って、設備モデルと必要な属性情報を作成・更新する役割。
  • MEPコーディネーター:設備同士、または意匠・構造との取り合いを整理し、課題の担当者、対応方針、確認状況を調整する役割。

モデラーが形状を修正できても、設備容量や仕様の変更を独断で決定してよいとは限りません。設計判断をする人、モデルを変更する人、変更を承認する人を分けて確認しておくと、手戻りを減らせます。

MEPコーディネーションの例:天井内の設備を調整する

例えば、廊下の天井内でダクト、排水管、ケーブルラックが交差する場面を考えます。三つの形状が重ならないだけでは、設計が成立したとはいえません。排水の勾配、ダクトの寸法、梁との取り合い、点検や施工に必要な空間も検討する必要があります。

  1. 意匠・構造・設備の参照モデルの版、座標、階高をそろえる。
  2. 問題の場所を特定し、交差する設備と必要な空間を確認する。
  3. 担当設計者が性能・納まり・施工条件を踏まえて変更案を検討する。
  4. 承認された内容をモデルや図面へ反映し、他分野への影響を確認する。

これがMEPを分野横断で調整する一例です。確認対象の決め方は設計段階の設備干渉チェックも参考になります。

「MEPを担当してほしい」と言われたら確認すること

  • 対象設備:空調、電気、衛生のどこまでか。消火や通信などを含むか。
  • 業務:設計計算、モデル作成、図面作成、干渉調整のどこまでか。
  • 成果物:モデル、図面、機器表、計算書など、何をどの形式で渡すか。
  • 情報の詳細度:どの段階で、寸法・型番・系統・保守情報をどこまで入れるか。
  • 責任分担:誰が設計条件を決め、変更を承認し、成果物を確認するか。

モデルと図面の関係を整理したい場合は、BIM図面とBIMモデルの違いもご覧ください。

MEPについてよくある質問

MEPは何と読みますか?

一般に「エムイーピー」と読みます。建築分野ではMechanical・Electrical・Plumbingの略です。

MEPと設備BIMは同じ意味ですか?

MEPは設備の分野、設備BIMはその分野でBIMを活用する取り組みです。MEPという記載だけでは、BIMを使うことまで決まっていません。

MEPモデルがあれば設備図は不要ですか?

必要な成果物は契約やプロジェクトのルールによります。モデルのほかに図面、仕様書、計算書などが求められる場合があるため、提出条件を確認します。

MEPを理解する第一歩は、M・E・Pが指す設備を押さえたうえで、業務と成果物の範囲を具体化することです。ソフト名や職名にMEPが付いている場合も、この順番で読むと意味を整理できます。