BIMのLOD(詳細度)とは|LOD100〜500の違いと設備BIMでの使い分け
CAD/BIMナレッジモデル運用

BIMのLODとは?100・200・300・350・400・500の違いと設備の具体例

BIMのLOD100・200・300・350・400・500の違いを、比較表と空調機の例で解説。BIMForum 2025を参照し、形状の細かさと利用できる情報の違い、LOD350の取り合い、LOD500の確認精度、案件で合意する項目を整理します。

長

長谷川一夫

機械設備設計部

公開日
更新日

BIMのLODは、モデル内の要素をどこまで確かな情報として利用できるかを伝えるための指標です。形状を細かく描くことだけで決まりません。とくにLOD350は周辺要素との取り合い、LOD500は既存・施工済みの状態と確認精度を扱うため、数字の大小だけで理解すると成果物の認識がずれます。

この記事ではBIMForum「LOD Specification 2025」を参照し、100・200・300・350・400・500の違いを設備の例で整理します。案件の要求書で別の定義を使う場合は、その定義と成果物の合意を優先してください。

LODとは?DetailとDevelopmentの違い

LODにはLevel of DetailとLevel of Developmentという使われ方があります。前者は見た目の細かさ、後者は設計・調整などに利用するうえでの確かさに着目します。この記事では、BIMForumが示すLevel of Developmentを扱います。

例えば、外観が精密な空調機ファミリでも、実際の設置位置や大きさが未確認なら、納まりが確定したとはいえません。逆に簡潔な形状でも、必要な寸法と位置が確かなら、限られた用途で利用できます。何の判断に使うモデルかを先に決めることが出発点です。

用語の区別と基本定義はBIMForum LOD Specification 2025で確認できます。

LOD100・200・300・350・400・500の比較

LOD

定義の要点

読み取る際の注意

100

記号や概念的な表現

表示形状を確定寸法として測らない

200

一般的な要素として概略を表現

大きさや位置は概略として扱う

300

数量・大きさ・形・位置・向きを確かな形状で表現

特定メーカーの型番確定と同義ではない

350

周辺・依存要素との取り合いまで表現

単体の形だけで評価しない

400

製作・組立・設置に必要な詳細を表現

必要な詳細は対象部材と用途で定める

500

既存・施工済みの状態を観測・現地確認・補間等で表現

確認精度を明記。400より精細という意味ではない

上表は定義の要約です。実際の適合判断では、BIMForum 2025の基本定義と部材別の説明を確認します。

同じ空調機を例に「何を決めるか」を考える

次は「機械室に置く空調機AHU-01」を題材にした説明用の例です。案件の要求事項や、規格上のすべての適合条件を示すものではありません。

検討の場面

モデルで伝えたいこと

別に残す確認事項

設置場所の候補を選ぶ

機械室のどこに設備を置くか

必要能力、搬入方法、機器構成

機械室の広さを検討する

概略の外形と配置

寸法の根拠、変更し得る範囲

周囲との納まりを詰める

確かな外形、位置、接続面

保守空間をどこまで表すか

ダクト・架台と調整する

接続位置と周辺の取り合い

調整対象、担当者、未解決事項

製作・据付を準備する

必要な製作・設置の詳細

メーカー図との照合、承認状況

現地の状態を記録する

実際の位置・形状と確認範囲

確認日、方法、精度、未確認箇所

例えば「点検扉が開くか」を確かめたいなら、本体の細かな意匠より、扉の開放範囲と前面の作業空間が必要です。「ダクトを接続できるか」なら、接続口と周辺障害物の位置を優先します。モデルの作り込みは、確認したい問いに合わせて選びます。

LOD300でメーカー型番は必ず確定する?

LOD300という指定だけで、特定メーカー品の採用が確定したとは判断できません。型番、能力、材質、承認状況など、業務に必要な属性は項目ごとに要求を決めましょう。「形状の根拠に使った機器」と「採用承認された機器」が同じかも区別して記録します。

例えば管理表に「形状根拠:参考機器」「採用状態:未承認」を設ければ、モデルを見た人が発注可能な状態と誤解するのを防ぎやすくなります。

LOD350はLOD300に何を加える?

周辺の要素との取り合いを確認できる点が中心です。空調機の外形だけを正しく作っても、ダクトや配管の接続位置、架台との関係が不明なら、調整の判断材料が不足します。

「設備本体」「接続部分」「支持部分」のうち誰が何を作るかを分け、接続点を同じ基準で確認します。350という数字だけを指示するより、調整対象を具体的に示す方が作業範囲を共有できます。

LOD500は維持管理情報を全部入れたモデル?

LOD500の指定だけで、点検履歴、取扱説明書、シリアル番号までそろうわけではありません。維持管理で必要な情報は別に決めます。また、確認していない隠蔽部分を推測で確定情報にせず、確認方法と精度、未確認範囲を記録することが大切です。

設計段階とLODを機械的に対応させない

「基本設計は200、実施設計は300」という区切りを採用する場合も、案件で合意した運用として扱います。同じ段階の同じモデルでも、確定した機器と仮置きの機器が混在するためです。

例えば機械室の配置を先に決める案件では、空調機の外形と搬入経路を早く確認する一方、末端の接続詳細は後で検討することがあります。すべての要素を一斉に同じ段階へ進めると、未確定部分まで確定しているように見えるおそれがあります。

打ち合わせでは「このモデルはLOD300です」で終えず、対象要素、利用可能な判断、未確定事項を添えます。施工側への引渡しでは、施工BIMで確認する情報と責任範囲も整理しましょう。

LODを成果物の合意につなげる5項目

次の項目を、モデル作成前に小さな表で共有すると運用しやすくなります。

  1. 用途:配置検討、干渉調整、製作、現状記録のどれに使うか。
  2. 対象:機器本体、ダクト、支持材など、どの要素が範囲か。
  3. 要求:形状・寸法・位置に加え、どの属性をいつまでに用意するか。
  4. 担当:作成、提供情報の確認、承認を誰が行うか。
  5. 検査:確認方法、精度、未確定事項、変更時の更新担当をどう残すか。

これは成果物を具体化するための整理例です。案件に適した要求表やBEPへのまとめ方は、設備BIMのLOD設定ガイドで詳しく扱います。

よくある質問

LODは高いほどよいのでしょうか?

用途に必要な内容を満たすことが先です。検討に使わない細部を増やすと、変更時の修正対象も増えます。次の判断に必要な情報から整えましょう。

LOD500なら寸法誤差はゼロですか?

その意味ではありません。観測・確認等に基づく表現であり、精度の明示が必要です。用途が据付位置の記録なのか、製作寸法の決定なのかによっても必要な確認が異なります。

参考資料

参照版:2025年版。公開情報の確認日:2026年10月8日。