BIM/CIMとは|BIMとの違い・国交省の方針と設備設計への影響を整理
CAD/BIMナレッジ導入

BIM/CIMとは?BIMとの違い・原則適用の対象と設備設計への関わり

BIM/CIMと建築BIMの違いを、令和8年の国土交通省の実施方針で整理。原則適用の対象、単独設備工事と土木との取り合いの違い、成果品・属性・座標・引継ぎの協議項目を解説します。建築確認のBIM図面審査との区別も確認できます。

長

長谷川一夫

機械設備設計部

公開日
更新日

BIM/CIMは、建設事業の情報をデジタルデータとして管理し、調査・測量・設計から施工などの後工程へ共有・活用する取り組みです。3次元形状に加え、属性情報、点群、地理情報などを目的に合わせて扱います。

設備設計者が最初に確認したいのは、自分の案件にどの実施方針・仕様書が適用されるかです。国土交通省の直轄土木業務・工事に関するBIM/CIMの方針を、すべての建築・設備案件にそのまま当てはめることはできません。本記事は2026年10月8日時点の公式資料に基づき、令和8年版の対象範囲と設備分野の実務を整理します。

BIM/CIMと建築BIMの違い

国土交通省の実施方針では、BIM/CIMをBuilding/Construction Information Modeling, Managementと表記しています。目的は、受発注者がデータを共有・活用し、建設生産・管理の効率を高めることです。令和8年の実施方針

建築BIMは、主に建築物の形状と、部材の仕様・性能等の属性を持つ情報モデルを扱います。設備でいえば、配管の位置や径だけでなく、系統、材質、機器仕様などを図面や確認作業へ利用する考え方です。国交省のBIMの説明

見る項目

建築BIM

本記事で扱う国交省のBIM/CIM方針

主な対象

建築物の設計・施工・維持管理

直轄土木業務・工事の情報共有・引継ぎ

設備との関係

空調・衛生・電気等のモデルと他分野の調整

土木構造物と機械設備・電気通信設備等の取り合い

条件を決める資料

発注条件、契約、BIMの実施計画等

当該案件の仕様書、実施方針・要領、受発注者協議

両者に共通するのは、後工程で使える情報を渡すことです。一方、納品物やモデルの作り込みは案件の用途で変わります。製品名が同じでも、別案件の設定や納品方法を無条件に流用しないようにしましょう。

令和8年の実施方針はどこまで適用されるか

令和8年3月の方針は、同年4月1日以降に入札契約手続きを開始する業務・工事から適用されます。対象として、測量、地質・土質調査、土木設計・計画、土木工事の各共通仕様書に基づく業務・工事を挙げ、小規模なものや災害復旧等の緊急性が高いものを除いています。

また、原則としてすべての詳細設計(実施設計を含む)と工事で3次元モデルを情報共有・伝達に活用し、実施内容と納品方法は受発注者の協議で決めるとしています。実施方針・2、3、8項

「対象だから全範囲を高精細に作る」と考える必要はありません。国交省の解説でも、活用内容に応じて必要十分な範囲・精度とし、過度に精密なモデルの作成が目的化しないよう示しています。実施方針の解説

単独の設備工事と土木との取り合いを分ける

設備業務で特に注意したいのは、単独発注の設備工事と、土木工事に関係する部分の扱いです。

ケース

令和8年の解説による扱い

設備側で確認すること

単独の機械設備工事・電気通信設備工事

土木工事共通仕様書に基づく土木工事に含まれず、適用対象外

個別の発注条件にBIM/CIM活用の指定があるか

土木工事との取り合いなど関連する箇所

BIM/CIM適用の対象に含め、適切に3次元モデル等を活用

土木側との責任境界、干渉・離隔、共有する情報

維持工事、小規模・緊急性を要する業務等

方針が示す除外対象を確認

工事名称だけで決めず、仕様書と発注者の指定を確認

出典:実施方針の解説・対象範囲。単独の設備工事が対象外であることは、その設備に関するすべてのBIM/CIM活用が不要という意味ではありません。

例えばポンプ設備と土木躯体の取り合いを扱う場面では、基礎・開口・搬入経路・保守空間など、合意形成に必要な部分を先に定めます。これは説明用の想定例です。どの部分を設備側で作成し、どこを土木側で確認するかを決めてからモデルを作ると、重複入力や確認漏れを抑えやすくなります。

受発注者で合意する成果物と確認項目

令和8年の取扱要領は、座標・単位・基準点、データ連携、実施計画書、モデルと2次元図面の整合、属性情報、納品などを整理しています。BIM/CIM取扱要領

次の表は、設備側から協議事項を整理するための例です。国の様式を置き換えるものではなく、案件の実施計画や確認表に反映する項目として使います。

合意する項目

具体的に残す内容

確認方法の例

活用目的と範囲

干渉検討、数量、説明用などの用途と対象設備

対象箇所・対象外箇所を一覧化

座標・高さ・単位

基準点、測地・高さの基準、モデル単位

共通の確認点で重ね合わせ

属性と識別

部材名、分類、識別子、必要な仕様

抽出した代表要素を照合

データ形式

オリジナルと交換形式、ソフト・バージョン

受領側の環境で読込みを確認

図面との整合

対象図面、改訂、注記・詳細の管理方法

同じ改訂の平面・断面・集計を照合

引継ぎ

更新日、変更範囲、未確定事項、確認者

引継書・課題一覧と成果品を突合

IFCやJ-LandXMLなど、目的に合う機械判読可能なデータを後工程へ渡すことが重視されています。ただし、すべての設備情報を同じ形式にすればよいという意味ではありません。用途と受領側の環境を合わせ、交換後に残った形状・属性を確認します。実施方針の解説・データ連携

IFCの基本はIFCファイルの開き方と注意点、設備情報の照合は設備IFCモデルの受渡しを参照してください。

建築確認のBIM図面審査とは別に理解する

建築確認では2026年4月1日にBIM図面審査が開始されています。これは建築分野の確認審査に関する仕組みであり、本記事で説明した直轄土木の実施方針とは、対象も手続きも異なります。国交省・建築BIM推進会議の開始案内

建築案件では、その案件が採用する申請・審査の方法と成果図書を確認します。BIM/CIMの原則適用を根拠に、民間建築・設備設計が一律にBIM必須になったと判断しないことが大切です。

よくある質問

単独の設備工事ならBIM対応は不要ですか?

国交省の当該方針の対象外でも、案件の発注条件や契約でモデル作成・共有を求められる場合があります。対象範囲と個別要求を分けて確認します。

設備モデルは細かいほど評価されますか?

必要な精度は活用目的によって変わります。形状の細かさに加え、必要属性、図面との整合、受領側が利用できる形式を確認しましょう。

最初に準備するものは何ですか?

適用される仕様書と成果品要求を確認し、利用目的、担当範囲、座標、交換形式、検証方法、引継ぎ情報を一枚の協議メモに整理すると着手しやすくなります。

まとめ

設備設計でBIM/CIMに対応する際は、まず対象案件と土木との取り合い範囲を把握します。そのうえで、必要な形状・属性・成果図書と確認者を決め、後工程が情報を使える状態で渡します。建築設備の工程全体を整理したい場合はBIM設計の進め方も参考にしてください。

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