
BIM/CIMとは|BIMとの違い・国交省の方針と設備設計への影響を整理
BIM/CIMとは何か、BIMとの違いや国土交通省の原則適用方針を整理し、設備設計への影響を解説。単独の設備工事の対象外扱いや、2026年春の建築確認BIM図面審査など、設備目線でどう捉えるべきかを実務目線でまとめます。
長
長谷川一夫
機械設備設計部
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公共工事を中心に「BIM/CIM」という言葉を目にする機会が増えています。土木寄りの概念に見えますが、国の方針として進むにつれ、設備設計にもデータ連携や納品の面で影響が及びます。本記事では、BIM/CIMとは何か、BIMとの違いや国土交通省の方針を整理し、設備設計への影響を実務目線で解説します。
※国の方針・適用範囲・日程は年度で見直されます。最新情報は国土交通省のBIM/CIMポータルサイトや各実施方針で必ずご確認ください。
BIM/CIMとは
BIM/CIMは、建築分野のBIMと、土木分野のCIM(Construction Information Modeling)をあわせた呼称です。国土交通省が公共工事での活用を推進しており、調査・測量→設計→工事→維持管理という一連のプロセスで、情報を一貫して活用することを目指しています。
単に3次元モデルをつくるだけでなく、モデルに属性情報を紐づけて、設計・施工・維持管理の各段階で情報を受け渡していくことで、建設生産・管理システム全体の生産性向上を図るというのが、国の描く全体像です。
BIMとの違い
BIMが主に建築物を対象とするのに対し、CIMは橋・トンネル・道路などの土木構造物を対象とします。対象とする構造物は異なりますが、情報をモデルに紐づけて活用するという考え方は共通しています。
なお、国土交通省が「BIM/CIM」と両者を並べて呼ぶのは、建築と土木を別々のものとして扱うのではなく、3次元モデルを軸にした情報活用を建設分野全体で進めるという意図からです。
国土交通省の方針(原則適用)
国土交通省は、令和5年度から、小規模などを除く直轄の土木業務・工事でBIM/CIMの「原則適用」を進めています。設計段階での空間検討、施工段階での干渉チェックや数量算出、維持管理での属性情報の活用などが求められ、直轄案件を中心に段階的な実装が進んでいます。令和8年度には、さらに対象範囲を広げた高度な適用への移行も準備されています。
ここで重要なのは、現時点でBIM/CIM原則適用の対象は国土交通省の直轄土木業務・工事であり、民間の建築工事は法律による義務化の対象ではない点です。ただし別途、建築確認におけるBIM図面審査が2026年春を目途に段階的に開始される方針が示されており(さらにBIMデータ審査は2029年春を目標)、建築分野でもBIM活用が段階的に拡大する見通しです。
設備分野はどこまで対象か
設備目線では、BIM/CIM原則適用の「対象外」の扱いに注意が必要です。公開されている実施方針では、費用対効果が出にくい小規模工事として、維持工事や単独の機械設備工事・電気通信設備工事が原則適用の対象外とされています。つまり、単独発注の設備工事は、現時点では直接の適用対象からは外れるケースが多いと言えます。
一方で、BIM/CIMの活用ガイドライン(案)には「機械設備編」や「電気通信設備編」といった設備関連の編も用意されており、土木構造物に付属する設備(ポンプ場・水門・電気通信設備など)に関わる場合は、設備分野でもBIM/CIMの枠組みに入ってくる可能性があります。
設備設計への影響
BIM/CIMは土木寄りの概念ですが、公共建築物の設備設計や、土木構造物の設備に関わる場面では、次のような影響が及びます。
- データ連携:発注者や他工種との間で、モデル・属性情報を受け渡す場面が増える。
- 納品形式の要求:3次元モデルや指定フォーマット(IFCなど)での納品が求められることがある。
- 審査のデジタル化:建築確認のBIM図面審査など、審査・検査の電子化に対応する必要が出てくる。
- 元請・発注者からの要請:直接の対象外でも、プロジェクト全体でBIMを使う方針の下で、設備もBIM対応を求められることがある。
国の方針を理解しておくことで、公共案件での対応力を高められます。特に、IFCでのモデル受け渡しや属性情報の付与に慣れておくことは、今後の公共・民間両方の案件で活きます。
よくある質問(FAQ)
設備工事はBIM/CIM原則適用の対象ですか?
公開されている実施方針では、単独の機械設備工事・電気通信設備工事は原則適用の対象外とされています。ただし土木構造物に付属する設備や、プロジェクト全体でBIMを使う方針の下では、設備も対応を求められることがあります。
民間の設備設計にも関係しますか?
BIM/CIM原則適用自体は直轄土木が中心ですが、建築確認のBIM図面審査(2026年春目途)などを通じて、民間の建築・設備でも実質的にBIM対応が必要になる可能性があります。早めの準備が賢明です。
何から準備すればよいですか?
まずはIFCでのモデル受け渡しや、属性情報を付与したモデル作りに慣れておくことです。公共案件での納品形式の要求は年度で変わるため、国土交通省の方針や要領を定期的に確認しておくと良いでしょう。
まとめ
BIM/CIMは、建築のBIMと土木のCIMを合わせた、国主導の取り組みです。国土交通省は令和5年度から、小規模などを除く直轄土木業務・工事で原則適用を進めており、単独の設備工事は現時点では対象外のケースが多いものの、土木構造物に付属する設備などでは関係してきます。
設備設計にとっては直接の対象ではない場面もありますが、公共案件のデータ連携・納品要求を把握する意味で、方針の理解は有益です。さらに2026年春目途の建築確認のBIM図面審査など、建築分野でもBIM活用が拡大する見通しです。IFC連携や属性付与などの基礎を早めに固めておくことが、今後の対応力につながります。なお、具体的な方針・適用範囲・日程は、国土交通省の公式情報を必ずご確認ください。