
BIM 360とは?ACC・Autodesk Formaとの違いと設備設計のCDE運用
BIM 360とACC・Autodesk Formaの関係を2026年10月時点の公式情報で整理。既存案件の継続・移行判断、閲覧とRevit共同編集の違い、設備設計で必要な権限・版・承認・指摘事項の管理を解説します。名称変更とデータ移行の違いも確認できます。
長
長谷川一夫
機械設備設計部
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BIM 360は、図面・モデル・指摘事項などをクラウドで共有し、設計や施工の共同作業を支えるAutodeskのプラットフォームです。現在のAutodesk Formaとは別の環境であり、既存BIM 360案件の継続運用と、新規案件で選ぶ環境を分けて考える必要があります。
本記事では2026年10月8日時点の公式情報をもとに、名称の関係と、設備設計で共通データ環境(CDE)を使う際の管理方法を整理します。
BIM 360・ACC・Autodesk Formaの違い
ACC(Autodesk Construction Cloud)は、日本時間2026年3月25日からAutodesk Formaに統合され、主要製品も名称が変わりました。この変更についてAutodeskは、既存ACCユーザーのデータ移行は不要と説明しています。日本公式発表
名称 | 2026年10月時点の位置付け | 読み違えやすい点 |
|---|---|---|
BIM 360プラットフォーム | Formaとは別の既存環境 | ACCの名称変更で自動的にForma案件になるわけではない |
Autodesk Construction Cloud(ACC) | Autodesk Formaへ統合 | 既存ACCデータを移す作業は名称変更のためには不要 |
Autodesk Docs | 現在のForma Data Management | CDE・図面やファイル管理を担う |
BIM Collaborate Pro | 現在のForma Design Collaboration | 設計連携やRevitのクラウド共同作業に関わる |
BIM 360とFormaの間でプロジェクトを自動移行できるわけではありません。名称変更と、異なる環境へのデータ移行を混同しないようにしましょう。Autodeskのプラットフォーム比較
現行製品の全体像はAutodesk Formaの解説にまとめています。本記事では、既存案件に参加する設備設計者が確認する実務に絞ります。
BIM 360は終了したのか
Autodeskの2026年8月12日付FAQでは、BIM 360プラットフォーム本体の終了予定はないとしています。一方、今後の改善・新機能追加は行わず、新規プロジェクトはFormaで開始することを推奨しています。Desktop Connectorによる同期は引き続き利用できると説明されています。BIM 360継続方針の公式FAQ
同FAQが区別しているBIM 360 Team・Glue・Plan等の旧製品の終了案内を、BIM 360本体の一律終了と読まないことが大切です。案内を受け取ったら、対象製品、利用しているサービス、案件の契約を照合します。
既存案件では、取引先と合意した環境、残りの期間、モデルへの参照関係、保存すべき記録を確認します。新規案件ではFormaを候補に、参加者の契約・対応バージョン・必要機能を揃えてからプロジェクトを作ります。名称が新しいという理由だけで、進行中の案件を途中から移す必要があるとは限りません。
閲覧・共同編集・モデル調整を分けて選ぶ
CDEは、関係者が参照するプロジェクト情報を管理する共通の環境です。Forma Data Managementは、ファイル管理、版管理、権限、レビュー・承認などを提供します。ただし、ファイルを閲覧できることと、Revitで複数人が同時に編集できることは別です。Forma Data Management公式
やりたい作業 | 確認する機能 | 参加前に確認するもの |
|---|---|---|
図面・モデルの閲覧、コメント | データ管理・レビュー | 利用契約、招待先、フォルダ権限 |
Revitモデルのクラウド共同編集 | Revit Cloud Worksharing | RevitとForma Design Collaborationの割り当て、サービス権限 |
分野モデルの調整・干渉確認 | Model Coordination等 | 使用できるモジュール、対象モデル、調整ルール |
他分野へ設計情報を渡す | Design Collaboration等 | 共有範囲、受け取る時期、承認する担当 |
Revit Cloud Worksharingでは、RevitとForma Design Collaborationの契約に加え、プロジェクトへの招待や編集可能なフォルダ権限等が必要です。単にプロジェクトに招待された状態では、すべての作業ができるとは限りません。Revit公式の開始要件
モデル調整や設計パッケージ共有の機能はForma Design Collaborationの公式機能説明で確認できます。BIM 360案件では、その案件で有効なサービスと権限を管理者に照会してください。
設備設計のCDE運用で決める五つのこと
クラウド上でファイルが新しくなったことと、設計上の承認が済んだことを区別します。次は設備モデルを共有するための運用例です。製品の標準設定ではなく、案件開始時に合意しておく項目として使ってください。
項目 | 合意する内容 | 例 |
|---|---|---|
保存場所と権限 | 作業中・共有用・出図用を誰が更新できるか | 設備担当が更新、調整責任者が共有を承認 |
名称と版 | 工種、対象階、改訂、用途をどう識別するか | 空調・3階・改訂03・調整用 |
共有のタイミング | いつのモデルで調整会議を行うか | 会議前日に版を確定し、途中変更は別記 |
承認 | 誰が何を確認したら利用可能とするか | 系統・高さ・必要離隔を担当者が確認 |
指摘事項 | 課題、担当、期限、完了条件をどう残すか | 課題ID、参照版、位置、処置、再確認者を記録 |
例えば梁とダクトの干渉を検討する場合、「ダクトを下げる」というコメントだけでは、天井高さや点検空間の確認が残ります。課題に構造・設備モデルの版と位置を付け、変更案、影響範囲、判断担当を記録します。修正後は同じ課題で結果を確認し、対応済みと承認済みを分けると、議論を追いやすくなります。
IFCなどで受け渡す場合は、形状が表示されることに加え、位置・属性・対象範囲を確認します。具体的な確認項目は設備IFCモデルの受渡しを参照してください。
移行を判断するときの確認手順
BIM 360からFormaなどへ移す場合は、まず小さな範囲で試します。次の項目を案件の確認表にしておくと、ファイルのコピーだけで移行完了と判断することを防げます。
- 移行対象を決める:現行版、過去版、指摘事項、承認・配布の履歴など、保存が必要な記録を列挙する。
- 参照関係を確認する:Revitリンク、外部ファイル、共有URLなど、保存先が変わると影響する箇所を整理する。
- 利用者で試す:管理者だけでなく、設計者・確認者・協力会社の権限で必要な作業ができるか確かめる。
- 切替条件を決める:最終更新、移行後の正本、旧環境を参照する期間、問題時の戻し方を合意する。
- 記録を照合する:移せた情報と別保存した情報を区別し、案件責任者が利用開始を判断する。
これは移行計画の確認例です。ファイル形式やサービスによって扱いが異なるため、実施方法はAutodeskのデータ移行案内と契約先に確認します。履歴や指摘事項まで無条件で移せるとは考えないでください。
よくある質問
ACCを使っていたら、Formaへデータを移す必要がありますか?
ACCのFormaへの統合に伴う名称変更では、公式にデータ移行不要と案内されています。BIM 360から別環境へ移すケースとは扱いが異なります。
ブラウザでモデルが見えるのに、Revitから編集できないのはなぜですか?
閲覧権限とクラウド共同編集の利用条件が異なるためです。契約の割り当て、使用アカウント、招待されたプロジェクト、フォルダ権限を管理者と確認します。Autodeskのアクセス確認手順
まとめ
BIM 360案件では、現行の利用環境と必要な記録を把握したうえで継続・移行を判断します。CDEを活かすには、権限、版、共有時期、承認、指摘事項を揃えることが欠かせません。まず一つの設備モデルで、共有から確認完了までの流れを関係者と確認しましょう。