人形町にある中古マンションの一室をリノベーションしました。時代に合わせた意匠的な仕上げの変更だけでなく、間仕切り壁の撤去や配管工事を含むレイアウトの変更を行い、より開放的な空間となるように目指しました。
もともとリビングに背を向けていたキッチン・レイアウトを反転させて、リビングに向かってオープンキッチンとなるような空間構成としました。アイランドキッチンを構成するグレーの直方体ボリュームは、PS(パイプスペース)を飲み込み、さらには分離し空中に浮遊して、飾り棚やキッチン用品の収納棚、間接照明の依り代となります。レイアウト変更において動かせないPSはあくまで背景役となって存在感を失い、様々なプロポーションのグレーの直方体ボリュームがそれぞれキャラクターを持ち始めます。
また、リビングと洋室とを仕切っていた間仕切り壁を撤去して、より空間の連続性を感じられるように設計しました。寝室として使う際には、3枚引戸と1枚引戸を直行方向に閉じることで、内側への視線を遮ることができるようになっています。内側のプライバシーを守りつつ、光を透過するリブガラスは軽やかな雰囲気を作り出すことに寄与しています。
床/壁/天井が淡いマットホワイトで仕上げられた空間において、水回りなどの機能空間がグレーの直方体ボリュームとして立ち現われ、建具枠/水栓金物/ドアハンドルなど直接触れる金物たちはマットブラックで強調しています。「歩く/座る」といった空間全体の中での無意識な行為から、「モノを片付ける/飾る」といった家具に間接的に働きかける行為、「握る/触る」といった小物に直接触る行為といったように、日常生活の中の様々な意識レベルの行為が、空間から家具、小物までと、色のグラデーションとして表現されます。
これらの行為に対応する色のグラデーションは、結果的に暮らし手の創発性を促すこととなり、家具や小物のセレクションをはじめ、日常空間の中において一つ一つの行為が演出されるような緊張感を作り出すことになったと考えています。







竣工: 2025年4月
面積: 69.32㎡
施工: 共同建設株式会社
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